第19章 まだ見ぬ先も君といたい。【其の弍】※
なんで?
なんでこの二人こんなに最初から仲悪いの?!
やはり私の取り越し苦労だったようで二人とも"初めまして"の空気感を出していたので、宇髄さんがこの子を知っているという仮説は勘違いだったと思う。
それなのに威嚇し合うような二人の姿に困惑しかない。
「とりあえずこの荷物置かせろ。話はそれからだ。餓鬼。"お兄さん"が遊んでやるよ。」
「あ?餓鬼扱いすんな!おっさん!」
「うっせぇ、餓鬼だろうが!」
「餓鬼にムキになってるおっさんも餓鬼だろうが!」
「何だと、クソ餓鬼が!!」
「クソ餓鬼じゃねぇ!!」
いや、もうどっちもどっちなんじゃ…。
最初は宇髄さんのあまりの剣幕にどうしようかと思ったが、最早そこはいいや。
私は睨み合う二人の間に入ると窘めながら、家の扉を開く。
「お母さん、お邪魔しますー。騒がしくてすみません!」
「騒がしいのはこのおっさんだけだ!」
「テメェが最初に突っかかってきたんだろうが!」
「もうーーーーー!!二人とも静かにしなさぁぁーーーーーい!!!お母さんは病気なの!煩いなら外に行ってなさい!!!宇髄さんはそこに荷物置いて!!」
「「((お前のが声でかいけどな…))」」
あまりに煩いのでそう苦言を呈すると宇髄さんが前に出てお母さんに向かって頭を下げた。
「初めまして。ほの花から話を聞いて手伝いに来ました。宇髄天元と申します。騒がしくしてすみません。餓鬼…じゃなくて、琥太郎くんと遊ばせてもらってました。薬の調合があると思うので俺らは外に出てますね。」
こう言う時、宇髄さんの変わり身の術が凄すぎて面食らってしまう。しかし、今日は面食らったのは私だけでなく、隣にいた琥太郎くんもで、二人で顔を見合わせてしまった。
荷物を私が言った場所に置いてくれると隣にいた琥太郎くんを急に担ぎあげて、外に出て行く。
「あ?テメェ、おっさんおろせ!!」
「こ、こら!琥太郎!すみません…!口が悪くて…!」
「あ、俺は大丈夫なんで。ほの花、薬頼むなー。」
「あ、え、う、うん。」
「離せーー!」という琥太郎くんの雄叫びが聞こえてきたが、宇髄さんとて子どもを血祭りにあげようだなんてしないだろう。
急に静かになった部屋の中でお母さんと向き合うと二人で苦笑いをし合った。