第19章 まだ見ぬ先も君といたい。【其の弍】※
「宇髄さんの変態…。」
「何で変態なんだよ。お前の乳を揉めるのは俺の特権だぜ?別に良いだろ。減るもんじゃねえし。むしろもっと揉みまくってデカくしてやろうか?」
「な、っ?!」
転んでもただでは起きない宇髄さんに私の方が完全に掌の上で転がされている。
こんな道中で下世話の話をしてくる彼に恥ずかしくてたまらないが、機嫌は完全に直ったようだったので余計なことは言わないに限るのだ。
川に向かって歩いていくと川沿いの草っ原が視界に入る。
そこに向かって指を向けると「もうすぐだよ。」と先に前を歩いて道案内をする。
草っ原を抜けないと家に辿り着かないと言うのに、大して驚きもしない宇髄さんにまたもや違和感を感じた。
違うかもしれないけど、宇髄さんは…この場所に来たことあるのかもしれない。
彼の方がこの土地に住んで長いのだからこの家の存在を知っていたとしてもおかしくはないし、ひょっとしたら彼らの顔を見たこともあるかもしれない。
「…驚かないの?」
「何がだよ。」
「だって…結構奥でしょ?草っ原掻き分けないと入れないし。」
「奥でしょ?って言うけどお前の里のがはるかに奥まったとこにあったじゃねぇか。あっちのが驚いたわ。」
そう言われてしまい、確かに自分の里のことを出されてしまうと大したことないのは間違いなくて…。
やはりこの違和感を感じること自体が間違っているのかもしれない。
やっと草っ原を抜けると小さな家が見える。
その前に小さな男の子が薪割りをしているのが見えた。
それが琥太郎くんだと言うことはすぐに分かり、後ろにいる宇髄さんをチラッと見る。
「宇髄さん、あの子が琥太郎くんだよ。」
「あー、アイツね。」
大きい反応が欲しいわけではないところだが、どうも宇髄さんの反応が元々知ってる人を見るようで首を傾げた。