第19章 まだ見ぬ先も君といたい。【其の弍】※
「ねぇ、お米も買っても良い?」
「いいけど…お前、ここぞとばかりに…。」
「だっていつも小さいのしか買えなかったんだもん。」
ほの花がここ最近関わってきたと言う親子に初めて会わせてもらう。
ずっとどんな奴らなのか話してみたかったから良い機会だと思って付いてきたが、いつも一人だとたくさん買えなかったからといい、調味料やら米やらここぞとばかりに買い込む俺の女。
いや、お前のものならいくらでも荷物持ちしてもいい。
お前のものならな。
だけど、これはお前のじゃなくて、その親子のなんだろ?
(……めっちゃくちゃ不満…。)
荷物持ってやるとは言った。
確かに言った。
間違いなく。
だが、自分のことにはほとんど金を使わないくせに他人のことになると急におしみなく金を使い出すこの目の前の女に不満しかない。
だが、ここ最近こうやって俺に対してもあまり遠慮をしなくなってきたのは良い傾向だからこういうのも喜ばなければいけないのかもしれない。
「…今度はお前の買い物の荷物持ちしてぇな。」
「え、…、う、宇髄さんって…意外とそう言う被虐欲が…!?」
「はぁぁあっ?!ちげぇーーーって!何だ、その変態みてぇな言い方!俺はお前の買い物ならいいのにってことが言いてぇの!」
「私の買い物に付き合ってるじゃん…?」
「お前のものは一個もねぇだろうが。」
「ああ!そういうことね!何だー!それなら今度エタノール缶買いに行く時付き合ってね!」
駄目だ…コイツに俺の気持ちは通じねぇ。
誰が消毒液買いに行くのに付き合うかよ。いや、行くけど。
男女の逢瀬の定番は買い物だろうが……と言おうかと思ったが、どうせキョトンとした顔をされるに決まってるんだ。
「……そん時に夏の浴衣でも仕立てにいくか。」
「え?何で浴衣?」
「花火やるんだよ、この辺りは。」
「へぇ……はなび…。でも、浴衣ならありますけど…。」
「…それは俺以外の男は見てないやつだよな?」
「わ、わーい!か、買ってくれるの?宇髄さん!ありがとう!!」
どうせ男と言っても正宗たちだろうが、俺は他の男に見せたことのある浴衣で逢瀬は御免被る。