第18章 まだ見ぬ先も君といたい。※
翌朝、目が覚めると視界に逞ましい体があるのはいつものこと。微睡から意識を徐々に引き上げていくと、いまに至った状況を考えてみる。
(…私、最後どうしたんだっけ?)
彼とのこの微睡の時間は大好きなのに、前日の情交で激しく気をやってしまった場合、高確率でこの思い出す作業をしなければならない。これがとても恥ずかしくて朝から顔が熱くなる。
(…宇髄さんのこと放っておいて一人で寝ちゃったのかな…?)
お仕置きと言われて自分主導の情交をしていたというのに彼を放置して寝てしまったなんてことは許されない。だけど、きっと彼は優しいから責めたりしない。
ただ自分が情けなくて、顔の熱が急に冷めていく。
私が一人で一喜一憂していると頭上から吹き出す音が聞こえて、顔を上げる。
そこには笑いを堪えた表情の宇髄さん。
「っく、っあっはは…!もー無理。ど、どれだけ百面相してんのよ。あー、かわい。」
「え、…も、もう!起きてたなら言ってよー!恥ずかしいじゃん…!」
すっかり角は取れていつもの宇髄さんの様子にホッとした。…のに、笑い続けていて目尻に涙さえ溜まっている彼に不満をぶつけてみる。
「だ、だって…、お、覚えてなくて…、必死に思い出そうとしてたのに…!」
「あー、だろうな。あんな死んだように意識失って覚えてたらこっちがビビるわ。俺の中では通常通りだけど?」
「……いつも、ごめんね。」
「何でほの花が謝るんだよ。俺だろ。謝んのは。ちょっとやりすぎたわ。ごめんな?」
ほらね、やっぱり宇髄さんはそうやってすぐに私を甘やかして、責めたりしない。
私が悪くても、"自分も悪かったから"と言ってくれるような人だ。
いつもいつもそうやって溢れるほどの愛で包んでくれる彼に甘えてばかり。
でも、彼は足りないって言う。
これ以上どうやって甘えろと言うのだ。
愛されて愛されて愛されて
彼の愛で溺れ死にそうなのに。
そうなっても良いと思えるほど愛してることをどうやったら伝わるんだろう。
きっとわたしは一生そうやって悩む気がする。