第3章 立ち振る舞いにご注意を
ほの花の部屋で膝を突き合わせて座ると急に畏まったようで妙な緊張感に襲われる。相手は自分の継子だ。
今から初めてほの花を抱こうとしてるわけでもあるまいし、何の緊張だ、これは。
自分で自分に突っ込みを入れているとほの花が茶を入れて出してくれた。
「お茶どうぞー。」
「おぅ。須磨は大丈夫だったか?悪かったな。」
「いやいや!須磨さんとお風呂楽しかったです!」
どうやら本当に楽しかったようで何を話したのか嬉しそうに教えてくれた。たまに考え込むように神妙な顔をすることが気になっていたのでほの花が笑っていることは自分のことのように嬉しい。
だが、今日はそんな世間話をするために出向いたわけではない。
「そうか、良かったな?…で、早速だが話っつーのは?」
急かすように話を振ったのは申し訳ないが、まさに神妙な顔をして"話がしたい"と言ってきたのは夕刻のこと。たった数時間ではあるが、その間一体何の話なのか気になって仕方がなかった。
ほの花の言葉を待ってると、少し目線を下げて一度深呼吸をしてから真っ直ぐな瞳で射抜かれた。
「…宇髄さんには話しておいた方がいいと思って、本日お時間頂戴しました。」
「おうよ。」
「私の家…神楽家は陰陽師の末裔なんです。父と兄四人と私は陰陽道を使うことができるんです。なので日輪刀の色の変化はひょっとして陰陽師の家系が関係しているのではないかと思って…。兄達は確かに金色に光っていたと思います。」
ほの花の話は"はい、そうですか。"と簡単に返事ができるようなものではなかった。
陰陽師と言えばかなり昔の時代にいたという霊媒師のような存在。どんなことをしていたのかその陰陽師によって出来ることが違っていたと聞いたことがあるので、明確な括りというのは誰もがハッキリしない。
しかし、ほの花の話が本当だとすれば彼女の日輪刀が金色に変化したのはその家系によるものが高いのだろう。