第18章 まだ見ぬ先も君といたい。※
ほの花が話し始めるとすぐに大体のあらすじが理解できてしまった。
要するにコイツが死ぬほど優しい奴ということだ。
そんなことを一人で自分の責任だからと言って俺にすら言わずにやっていたことは誇り高いことだが、恋人としてはやはり少し寂しい。
頼ってこないにしてもせめて教えて欲しかった。
「…それで最近、よくそいつん家に行ってたわけね。」
「う…そ、そうなわけ…。」
「(…そうなわけ…?)母ちゃんは大丈夫なのか?」
「あ、う、うん!さっき診察してみたらだいぶよくなって来ててホッとしたよ〜!」
まぁ、そこは大体の予想はしていたのでめちゃくちゃ驚きはしない。
でも、俺が一番知りたいのはそこじゃない。
「それは良かったな。流石オレの女。……で?俺の可愛いほの花が怪我した理由は?そこが一番知りてぇんだけど?」
ほの花は目を泳がせると言いにくそうに少し目を逸らしながらポツリと話し出した。
「…えと、借金取りの人が来てて…、ちょっと…。手は出してないんだけど…、向こうの体力無くなるまで相手しててね。」
「つーことは、クソ弱いってことじゃねぇかよ。何で怪我してんの、お前。」
「…だ、だって、あまりに弱くて…可哀想になっちゃって…ちょっとくらいやられたフリした方がいいかな、と思って…。」
「……………。」
コイツは本当の阿呆だわ。
どこの世界に敵相手に情けかけてわざと怪我する奴がいるのか?
いや、此処にいた。
此処に阿呆が。
しかも、俺の恋人で、継子。
あまりに二の句を告げずに変な顔話して見ていたのだろう。耐えきれなくなったほの花が口を尖らせながら話し出す。
「な、何か言ってよ〜!!」
「…いいのか?言っても。」
「………や、やっぱやめとく。」
「お前はクソ阿呆だな。」
「い、言わなくていいって言ったじゃん!宇髄さんの意地悪ーー!!」
「ンなもん言わなくても察しろ!この阿呆が!!この体は俺のモンなのに勝手に傷つけて来やがって!」
死ぬほど阿呆で、死ぬほど優しくて、死ぬほど可愛いこの女には少しくらい苦言を呈したところで俺は悪くない。
意地悪とか言われても、自分の女が傷つくのは許せないのだから仕方ないだろ。