第18章 まだ見ぬ先も君といたい。※
玄関から須磨の声で"ほの花"という名前が聴こえて来たので、やっと帰って来たかと思い、玄関に向かう。
しかし、そこで繰り広げられていたのは須磨とまきをの見慣れた喧嘩……。
そしてそれを宥めるほの花の姿に俺は目を疑った。
隊服のスカートは横からパックリと破れて白い脚が更に見えてるわ
その白い脚には至る箇所に擦り傷だらけ。
よく見たら顔にも傷ができてて俺の堪忍袋の尾は切れる直前…、いや、完全に切れていたが、切れているのをとりあえず自分で持って、まずはほの花の話を聞こうと大人の対応をしようとしている状態だ。
俺の後ろに正宗と立っていた雛鶴に「コイツらのこと頼むわ」と声をかけると、間でオロオロしているほの花だけを連れて自分の部屋に連れ込む。
これでも優しくしてやりたいとは思っているし、お仕置きなんて言わずにただほの花と愛を確かめ合いたいというのに、コイツはすぐに俺に心配かけやがるからいつもこういうことになるんだ。
勘弁して欲しい。
「宇髄さん、おかえりなさい。無事で良かった。」
それなのに俺の顔を見た途端にそんなことを呟くものだから決心は簡単に揺らぐ。叱責しようにもそんな言葉をかけられてしまえば、事実だけ知れればいいか…と思えてくるのだ。
言いたいことは山ほどあるのに、ほの花のたった一言で天国にも地獄にも行けてしまう俺はどうかしてる。
ほの花を部屋の中に入れて襖を閉めると、座り込み自分の膝の上に乗せた。
「…これはどういう惨状だ?」
「あ、えっと…、こ、転んじゃっ…。」
「ほの花、誤魔化しは無しな?」
この期に及んで変な誤魔化しは通用しない。
どうやって転んだら頬が傷つくのだ。隊服だって一度転んだくらいじゃ破れたりしない。
「……喧嘩しちゃったの。」
「…オトモダチとか。」
「んーと…いじめっ子と…。」
「マジでわっかんねぇわ。最初から話せ。俺に分かるように全部。」
ほの花がトモダチのことを何となく隠そうとしていることは分かっていた。
でも、そこに俺に対してやましい気持ちはないようだったので、様子を見ていたが……
自分の女が傷だらけで帰ってくるようならば
話は別だ。