第18章 まだ見ぬ先も君といたい。※
産屋敷様の調合の帰りだったので、いつもよりもお母さんの体に合った調合をすることができたのは良かった。
薬はその人の体調や体重などに合わせて調合するものなので、今回仕事用の薬箱を持ってこれたのは幸いだ。友達に会うと行ってこれを持って行った日には「友達の家で何してるんだ?」とまたもや要らぬ心配をかけてしまうからだ。
そろそろ宇髄さんはもう帰っているだろうけど、今日は産屋敷様の調合の日だと知っているので大丈夫のはず…。
お母さんの薬の調合と琥太郎くんの食事の支度を手伝うと、自分の傷に薬を塗り込む。
流血してて大変…という箇所は一つもなくて、お母さんが心配するようなことはない…と思っていたのは私だけの思い込みだったようだ。
二人に「またきますね〜!」と挨拶をして帰ってくると玄関の外でたまたま会ったまきをさんが、ギョッとした顔をして、こちらを見ている。
「え、ちょ、ほの花さん?!大丈夫ですか?!」
「え?何がです?」
「服!破れてる!!それに頬に傷もついてるし、足も傷だらけじゃないですか!」
「え?分かる?!あはは。ちょっとドジってしまいまして。でも、これくらい鍛錬の時だってよくありますし。」
まきをさんが指を差したところは確かに隊服のスカート部分が破れてスリットのようになってしまっていたが、これくらい縫えば大したことはない。
「天元様、いらっしゃるので!!とりあえず私の部屋に来てください!そーっと!」
「えー?でも、宇髄さんとの鍛錬の時もよくあることですよ?」
「いーいーかーらー!!」
まきをさんに押し切られると、そーっと玄関を開けて彼女の部屋に向かう。
しかし、部屋に入る間際に須磨さんに会ってしまって「あれー?!ほの花さん、どうしたんですか?!ボロボロじゃないですかぁー!」という大きな声をあげるので、このコソコソした空間は一瞬で終わりを告げた。
その代わりに須磨さんとまきをさんがいつも通り喧嘩をし出したので間に挟まれた私は二人を宥めるのに必死で逃げることも隠れることもできず。
結局はそのままの状態で宇髄さんと対面することになってしまった。
その顔は今日凄まれた彼らの比でないことは見なくてもお分かりいただけるだろう。