第18章 まだ見ぬ先も君といたい。※
(え、どうしよう。本気で弱いよ。
女の顔叩くなんて最低だけど、弱すぎてめちゃくちゃ可哀想になってきたよ…!?)
いつも宇髄さんに稽古をつけてもらっている私は一般人などアリンコのようなもの。
宇髄さん本人なら塵のようなものだろう。
あまりに動じない私に余計に逆上した男達は袋叩きにしようと次々に攻撃を仕掛けてくるが、受け身も取れてしまうし、何なら攻撃も避けてしまう私。
少しは受けた方がいいのか?という何とも要らん気の遣い方すら思い浮かんでしまうが、とにかく手はだせない。
出来る限り、受け身をして避けて、たまに攻撃を受けてみて…。彼らの体力を尽きるのを待つしかない。
仕方なく、四人相手をすること三十分ほど。
息を荒くして膝をつくその男達を涼しい顔をして眺めていると恐らくその中でも親分的な存在の男が「ま、参った…、許してくれ!」と懇願してきたので、しゃがみ込んで真っ直ぐ彼をみた。
「参った…、でも、許してくれ…でもないの。私は彼女たちを守りたいだけ。二度と関わらないって約束してくれないかな。」
「し、します!しますので!」
「口約束だけじゃ困るの。一筆書いて。あと彼女が借りたのは本当はいくらなの?」
「ご、五円、です。」
やはりそんなもんか。
とんだぼったくりだ。弱いものイジメをして金をぶんどるなんて最低だ。でも、借りたものは返さねばならない。
私はお財布やら懐やら薬箱やらからかき集めること拾円弱はあったので、全て彼らに渡した。
「…え、…?で、でも…。」
「余分に渡すから二度と関わらないで。あなたたちだって本当はこんな職業したいわけじゃなかったんでしょ。今からでも遅くないから真っ当に生きて。これは足りないと思うけど餞別。」
「…ね、姐さん…!!」
「姐さんって呼ばないで!!!」
自分達との実力差に怖かったのか終始ビクビクしていた彼ら四人が最後、ヘコヘコと諂う姿に私は顔を引き攣らせた。
彼らに二度と取り立てをしないこと。
暴力を振るったりしないこと。
その内容を一筆を書かせて押印させると彼らを解放した。
しかし、これでは私が悪の親玉みたいではないか…と天を仰いだ。