第18章 まだ見ぬ先も君といたい。※
心の浄化とでも言おうか。
産屋敷様とお話しすると大体帰り道はふわふわと幸せな気持ちになる。
今日は産屋敷様の体調が良かったので能力も使わなかったし、それが余計に幸せな気持ちになった。
今日は琥太郎くん達に何の差し入れにしようかと町を彷徨いて新鮮な魚と野菜を買うと川沿いにある家へと向かう。
家に近づくの知らない声がきこえてきて思わず身を隠した。
男の人の声…?
草むらに身を隠しながら出来る限り近づくと四人の男達が家を蹴り上げたりして怒声を浴びせているのが目に入る。
助けようと思ったが、自分は鬼殺隊で一般人と揉め事を起こしたら産屋敷様にも他の隊士の皆にも迷惑がかかる。
どうしたらいいか迷ってしまい、拳を握り締めるが、引き摺られるようにお母さんが外に出されたとき、居ても立っても居られなくて飛び出してしまった。
「やめて下さい!女の人に暴力を振るうなんて最低ですよ!」
突然出てきた私に琥太郎くんもお母さんも驚いた目をしてこちらを見ているが、残りの四人はこちらを見てそれはそれは恐ろしい形相で睨みつけてきた。
「あん?何だ、テメェは。可愛い可愛いお嬢ちゃんが代わってくれんのか?」
「代わる…?何の話ですか。」
「この母親が俺らにした借金の肩代わりでもしてくれんのかって話だ。」
「…借金?おいくらですか。」
まぁ、生活に困っていたのは分かっていたので、借金くらい大して驚かないが、借りるところは随分と引きが悪かったようだ。
そんな大金を借りるようなお母さんではないし、微々たるものだろうと思っていたら下衆な笑いをしながら投げつけられた借用書に目を見開いた。
「金弍千円の貸付…?……はい?何これ。ぼったくりもいいとこでしょ。」
お母さんの顔を見ればふるふると首を振り、この金額が間違いであるように訴えかけているように感じる。琥太郎くんに関しては涙を堰き止めて可哀想なくらいだ。
「なんだよ、嬢ちゃん、払ってくんねぇの?じゃあこの母ちゃんを身売りに出すしかねぇな。」
「ちょ、待ってください!今どき、身売りだなんて…!」
昔はよく身売りという話を聞いたことがあったが、その言葉自体が耳慣れずに目を見開くことしかできない。
それよりも彼女の体が心配だし、早いところ何とかしなければ。