第18章 まだ見ぬ先も君といたい。※
宇髄さんはその日も夕方には出発して任務があるとのことだったので、見送りだけはしようと心に決めて町に買い出しに向かった。
今日の差し入れは
ふかふかの布団を二組と替えの着替え、あとは冬が旬の美味しそうな蜜柑。
きっとお金を工面するために色々なものを売って生活していたのだろう。家の中には本当に必要最低限のものしかなかった。
草っ原を大きな荷物を持ちながら抜けると昨日と同じ家が見えてくる。
そこまで重くはないが、嵩張る物を買ってしまったので本当ならば男手が欲しいところ。でも、こんなことを宇髄さんに頼むわけにもいかないし、自分が始めたことなのだから最後まで責任を持たなければ。
──コンコン
「こんにちはー!ほの花です!お邪魔して良いですか?」
開けてくれないかなぁ…なんて思っていたら願いが通じたようで琥太郎くんが開けてくれた。
しかし、ほぼ荷物で隠れている私を見てギョッとして驚いている。
「え、な、ほの花、だよな?」
「うん、そうだけど…、入っていい?前見えないの〜。」
「お、おう!大丈夫だ!」
琥太郎くんに招き入れられてそれを部屋の中に入れるとお母さんもやはり驚いた顔をしてこちらを見ていた。まだ顔色は悪いし、体調は優れないのだろうが、気持ちに余裕が出たようで表情は昨日よりも明るかった。
「ほの花さん…!?どうされたんです?」
どーんと置かれた布団二組に着替えに蜜柑を見てパチクリと目を見開き、私を見ている。
「お母さん、お加減はいかがですか?」
「え…?えー…、と、昨日よりはすごく良いです。」
「そう言えば昨日は時間がなくて聞きそびれてしまったんですが、他に気になる症状ありますか?」
置かれた物品を見ているが、先に昨日しそびれてしまったお母さんの問診をすることにした。
薬師としては"肺炎"という病気に対する薬は出したが、まだ症状を緩和するための薬を出していなかったと気になって仕方なかったのだ。