第3章 立ち振る舞いにご注意を
「おい、ほの花を困らせんなよ。俺の継子だぞ。」
「天元様の継子だろうと私たちはお友達なんです〜!あー…さては天元様も一緒にお風呂入りたかったんですか?駄目ですよ〜?ね?ほの花さん。」
「阿呆か!んなわけあるか!」
いや、宇髄さんは私じゃなくて須磨さんと入りたかったのではないだろうか。ひょっとして私が邪魔なのでは…?
「あの…宇髄さん、私、遠慮しましょうか?」
「はぁ?!だからそっちじゃねぇし!そう言うことじゃねぇっつーの!」
「え?じゃあ、どういうことですか?」
「……だぁーーー!おい、須磨。分かったから飯食ったんなら早く風呂行ってこい。ほの花も。」
説明するのが面倒になったのか私と須磨さんの首根っこを引っ掴むとポイっと部屋の外に出される。
何故怒っていたのだろうか?須磨さんがやんややんやと宇髄さんに文句を言っているが、宥めてお風呂場に向かう。
まぁ、警戒したところでこの人は宇髄さんの奥様のわけだから私とどうこうなろうだなんて思っていないだろうし、気にすることの方が野暮というものだ。
「ほの花さんって天元様のことどう思ってるんですか?」
「え?どうって?」
「好きですか?」
もしかして…これは嫉妬されて居るのだろうか。
自分の夫が独身の女を継子にして四六時中一緒にいるのは確かに面白くないだろう。
彼女がそう思っても仕方のないことだ。此処に来る前に誤解されないように振る舞うとあれだけ彼と約束したのにこれでは意味がない。
「えーと…もちろん好きですよ。師匠ですから。今日は鬼師匠でしたけど…。」
「それだけですか?」
「それだけです。須磨さんはなぁんにも気にしなくていいんですよ?さ、お風呂に行きましょ?」
立ち止まっていた彼女を引っ張るとお風呂まで連れて行く。私の配慮が足らなかったのだ。
此処に居る以上は同じ女なのだからもう少し彼女達の立場に立って考えなければならなかった。
心の中で"よし!"と意気込むと立ち振る舞いを見直そうと思い直した。