第17章 君色日和※
食事中ずっとそばにいてくれて話し相手になってくれたアオイちゃんと入れ違いでしのぶさんが入って来たので頭を下げてお礼を言う。何だか任務があると私は此処にくる確率が高いような気がして申し訳なくなる。
騒がしくない蝶屋敷を見ると怪我人等でごった返しているわけではないとは思うが、世話をかけているのは間違いないから。
「お食事は食べられました?宇髄さんが任務に行かれたようなので様子を見に来たんですけど大丈夫そうですね。良かった。」
「すみません。お世話かけてしまって…。」
「いえいえ、こちらこそ謝らなければ…。あやうく宇髄さんに怪しまれるところでした。」
そう言って肩を竦ませるしのぶさんは苦笑いをしている。寝ている間にもどうやらお世話をかけてしまったのは明白で申し訳なくて目線を下げた。
「解熱剤が効いているようだったので、宇髄さんのことだから連れて帰りたいんだろうなと踏んで"帰って良い"と言ったら"熱あるのに入院しなくて良いのか?"って言われてしまって…。夜急変した時のことも考えて此処にいた方が安心って言われたので入院を了承しましたけど、焦りましたよ。確かに前回は熱が下がるまで此処にいましたからね。墓穴掘りそうでした。」
しのぶさんが話してくれた内容を聞くと骨を折ってくれたのが分かり、さらに縮こまった。
確かに解熱剤が効いてるからといって熱があれば何で連れて帰って良いのか疑問に思うことも分かるが、勘のいい宇髄さんに隠し通すことがいかに難しいことなのか分かって来た。
しのぶさんが居てくれなければ恐らく既にバレていた可能性すらある。
「しのぶさん、本当にすみません。ありがとうございます。」
「いえいえ。私もその能力については興味があるので…乗りかけた船です。やるしかないですよ。」
ふぅっと息を吐くと笑ってくれたしのぶさんにホッとしたけど、宇髄さんに隠していることの罪悪感は消えない。
この罪悪感はおそらく無くなることはない。
でも、私が気に病むのは間違ってる。
いつか
万が一
バレてしまった時
その時、彼がどれほど傷つくのか考えただけでも申し訳なくて仕方がないのだから。