第17章 君色日和※
目が覚めると宇髄さんと目が合った。
随分と寝てしまっていたようだ。夕陽が窓から差し込んでいるのが見える。
「…すっごい寝てましたよね…。私…。」
「すっげえ寝てたな。あと、お前お仕置きどんどん増やされるぞ。寝て忘れてんじゃねぇよ。」
「い!いまのは演技でした!騙されましたねーー!」
「……だとしたら今も演技ってことでいいか?」
「…………。う、うん…。」
「……(こいつ、頭良いんだか悪いんだかたまに本気でわかんねぇな。)」
何と言う苦し紛れの言い訳だ。
呆れたようにこちらを見てくる宇髄さんだけど、流石に病人相手にお仕置きをすることはしないようで頭を撫でてくれた。
「…熱はだいぶ下がってっけど、念のため此処にいろ。今から任務入っちまったんだ。明日の昼過ぎに迎えにくるからよ。」
「あ、は、いや、う、ん。ありがとう、ご、ご、ご…え、や、ん?」
「………落ち着け。(こりゃ駄目だ…。)」
最早敬語どころか日本語でもない。
恥ずかしすぎる。
でも、昨日の今日でもう任務があるなんて宇髄さんは忙しい。
柱なんだから仕方ないかもしれないが、確かにこんな忙しくては継子を増やすなんて無理だろうし、彼の言っていたことに嘘はないだろう。
「飯、食わせてやりてぇんだけど、もうそろそろ行かねぇと間に合わないからよ。一人で食べれるか?ごめんな。」
「え?!だ、大丈夫…で…、大丈夫!行ってらっしゃい。頑張って、ね。」
「…やっぱ派手にいいな。敬語無ぇの。しっかり慣れろよ?じゃ、行ってくるわ。良い子に待ってろよ。行く前にお前と少しでも話せてよかった。」
そう言うと宇髄さんは立ち上がって、病室を出て行った。
彼が出て行くと途端に寒いと感じる部屋の温度。
抱きしめられて寝ていたわけでも無いのに彼と一緒にいる空間すら温かく感じるのは何故だろう。
任務までの限られた時間に一緒にいてくれてことが嬉しくてたまらないが、敬語が支離滅裂なところを直さなければこの先まともな会話ができない…と遠くを見つめてしまった。