第17章 君色日和※
ほの花は言いたいことだけ言うとそのままスゥッと寝てしまった。
体勢なんてぶち込んだ時のままだし、まだ体に精液やら愛液やらべったりと付いている。
できれば風呂に入れてやりたかったのに無理か…?いや、でも体は温かくなっているが、ババアが準備してくれていた浴衣を着せて連れて行くか。
どうせ入れたところで起きやしない。
枕元に畳まれて置いてあった浴衣を手繰り寄せるとほの花に巻き付ける。体にもたれさせたまま自分もそれを羽織ると風呂に向かう。
「お食事はどうされますか?」
ヌッ…と出てきたババアに一瞬ビビって、ほの花を落としそうになったが、何とか持ち直す。
「…ビビらせんなよ。飯はいい。寝ちまったからよ。あ、それと布団汚した。悪りぃな。」
恥ずかしげもなく報告するが、微笑んだまま大して驚きもせずに「かしこまりました」と言われるのでそのまま風呂に向かおうとするともう一度声をかけられた。
「可愛らしい鬼狩り様ですね。」
「ん?ああ、まぁな。」
「隊服が濡れてしまわれていたようなので新しいお召し物を準備しておきましょうか。朝までには乾かないやもしれませぬ。」
「助かる。部屋に置いといてくれ。」
「可愛らしい故…、柱様は苦労されていらっしゃるご様子で…。」
「………放っとけ。」
余計なお世話だ。
生きている年数が長くなるとみただけで分かることも増えるのだろう。
ババアは穏やかに微笑み、深く頭を下げるとその場を去っていったが、図星を突かれて苦虫を噛み潰したように表情を歪ませて風呂に向かった。
風呂に浸かっていると言うのに一切起きずに腕の中ですやすやと眠っているほの花は結局、朝まで目を覚ますことはなかった。
眠ったままのほの花の身体をしっかりと温めてやったと思ったのだが、真冬の氷水は華奢な彼女からすれば拷問に近い。
翌朝、真っ赤な顔をしたほの花を見てため息を吐いた。