第17章 君色日和※
宇髄さんに抱きしめられている。
それも裸で。
肌と肌が触れ合っているのに情交をしていないなんて変な感覚だ。
でも、情交終わりの微睡んだ感覚とまではいかないし、兎に角不思議だ。
私の冷たい体なんて抱きしめたら宇髄さんが冷えてしまうのではなんていう心配は最初だけ。
体が大きくて、筋骨隆々の彼は人よりも熱量を発しているのかまるで湯たんぽのようにずっと温かい。
通りであんな袖なしの隊服を纏っていても寒くないと言い張るだけのことはある。
彼と会うのは時期尚早だと感じていたのにこんな温もりを感じてしまえば擦り寄りたくなる感覚をグッと堪えるしかない。
まだ甘えるのは早い。
彼にはちゃんと言わないといけないことがある。
でも、彼を目の前にすると何から言ったら良いのか分からずに結局言葉が出てこない。
謝りたいのに謝れない。
自分が悪いのだから泣きたくないのに言葉を紡げばきっと涙が溢れてしまうと分かっていたから。
言葉を慎重に選び、何と言うべきか考えていると少しだけ腰にあった彼の手が自分の体を引き寄せたように感じた。
その瞬間、自分の体から熱が発せられた気がした。熱く湧き起こるそれは溢れるほどの彼への愛。
何を言うべきかなんて決まってるじゃないか。
「……宇髄さん、大嫌いなんかじゃない、です。世界でいちばん、大好き、です。」
ピクリと反応しただけで彼は何も言ってくれなかったが、「あーーー、もう!」という彼の声と共に背中に布団の感覚と唇を塞がれた。
久しぶりのその感覚に体の奥底から湧き上がる彼への愛に今度は違う震えが止まらない。
すき
だいすき
あいしてる
何と言えば貴方に伝わるの?
彼の舌を口腔内で受け入れると自らもそれと絡ませた。本当は首に抱きついてもっと近付きたいのに彼に手首を掴まれて布団に縫い付けられていて叶わない。
だけど、そんなこと気にならなかった。
彼の愛を感じられるだけで私はすでに幸せでたまらないのだから。