第17章 君色日和※
藤の紋章の家に降り立つと、すぐに部屋に通される。風呂を沸かしてくれるというが、そんな悠長なことを言っていられないので、先に布団を敷いてもらう。
畳に下ろしたほの花の服を一枚ずつ脱がし始めと俺の顔と手を交互に見つめて狼狽えているのが分かる。
「へ、え…や、え?!ちょ、ちょっと…う、うずいさ…?」
「何もしねぇって。兎に角、服脱げ。そんなもん着たままだと冷えたままだろうが。」
「な!で、でも…、じ、自分で…」
「手が悴んでできねぇくせに強がり言うなって。」
未だに小刻みに震えているほの花の服を全て脱がせ終えると恥ずかしがっている彼女を見ないようにして布団の中に入れてやる。
すぐさま、自分も隊服を脱ぎ捨て始めると目を逸らして布団で顔を隠すほの花。
何度も見てるくせに生娘のような反応に温めることが目的なのに変な気分になってしまう。
布団を捲り、冷たく氷のようなほの花の体を引き寄せると自分の体温を少しでも分け与えるように抱きしめた。
情交をしてるわけでもないのに、こんな風に最初から裸で抱きしめたことなどない俺は不思議な感覚と闘っている。
心を無にしないと、自分の女が腕の中にいればムクムクと性欲が膨れ上がってしまう。
それでも、腕の中のほの花の身体を少しでも温めてやりたくて必死になる。
先ほどまでは恥ずかしがって抵抗していたほの花も今は大人しくなされるがまま。
「…手貸せ。」
胸の前で握りしめたままだった手をおずおずと差し出してきたほの花のそれを握りしめる。震えは先ほどよりは止まってきてはいるが、未だにカチカチに凍りついている小さな手を自分の口元に持っていくとハァっと息を吹きかける。
ピクっと肩を震わせるほの花が情交の時と同じ反応をするものだから煽られているのではないかと感じてしまう。
グッと堪えた性欲は弾け飛んだ時にコイツをめちゃくちゃに抱いてしまいそうで今度は未来の自分が心配になった。