第17章 君色日和※
そこを通りかかったのはほんの偶然だ。
任務を終えて、帰るところだった時に虹丸が近くで鬼と戦っている鬼殺隊がいると教えてくれた。
まぁ、通りかかったし、苦戦していたら助けてやるかと思って来てみたら戦いは終わっているようだが、そこにいたほの花の姿に体が勝手に動いた。
寒さで感覚がなくなり、武器が流されていくのを追いかけるほの花の顔は真っ白になっていて、下流に向かい流れてきた武器を拾い上げると何故か川の中にいるほの花を抱き上げた。
その体はあまりに冷たくなってしまっているが、息もしているし、呂律は回ってないが何とか喋っているのでほっと一息吐く。
「…このクソ寒ぃのに水遊びなんかしてんじゃねぇよ。ほの花。」
突然の柱の出現に驚いた残りの隊士の中に、見知った顔を見つけて無意識に睨みつけてしまった。その女は目を逸らすように視線を外したので追及はしない。今は氷のように冷たいほの花の体のが優先だ。
見たところ大きな怪我はしていなさそうだし、村田を見つけたので事後処理を頼むとほの花を連れて家路を急ぐ。
しかし、濡れた体では急いだことによってその風圧すらも寒いのだろう。どんどん顔が青白くなっていくほの花に一番近くの藤の家に向かうことにした。
自分の屋敷の方が羽を伸ばせると思ったが、致し方ない。このままでは風邪をひかせてしまう。
「ほの花、このまま帰ってもまだ半刻ほどかかるから藤の家で休んでから帰るぞ。風邪ひいちまう。」
「え、だ、だい、じょぶです…よ!」
「舌回ってねぇし、マジで風邪ひくぞ。」
自分の格好を見たらこちらのが風邪をひきそうだと思われるが、俺は全く寒くない。
ほの花はただでさえ布面積の少ない隊服に細い体にはこの寒さが骨身に染みるだろう。
ずっと震えているほの花の体をなるべく自分の肌と擦り合わせるようにしてやると、少しだけ頬に赤が差してきた。