第17章 君色日和※
首を斬っても崩壊が始まらないということは弱点が他にあるということ。
一度斬った首を自ら元に戻すとニヤッと笑ったソイツに鳥肌がたった。
地面を蹴ってさらに距離を取ると先ほどまでとは比べ物にならない速度で攻撃を仕掛けてきた。
何とかそれを受け止めて、くるりと反転するともう一度地面を蹴って、間合いに入った。
(弱点は何?首を斬っても死なないなんてそんなことあり得るわけ?)
──陰陽道奥義 五行の調べ
自然界の力を借りることができる陰陽道。舞扇に仕込んである陰陽札が発動すると自然の理の水・火・木・金・土の能力が宿る。
五芒星を天に描くと舞扇をその鬼に向かって振り下ろした。
その瞬間、体の中に見えたのは二つの首。
複数の首があるということ?
今見えたのは二つ。
少なくともあと二回、首を斬らないといけないということだ。
先ほどまでと比べ物にならない速度だが、まだ宇髄さんより全然遅い。
舞扇を構えると再び間合いに向けて斬り込み、もう一度首を斬った。
鬼門封じ自体は通用しているが、あと一度…。
他のみんなは大丈夫だろうか、と一瞬だけ視線を仲間に向けた瞬間、物凄い速度で鬼が飛び込んできて私はそのまま吹っ飛ばされた。
受け身を取るが、地面に打ちつけられて、舞扇が片方飛んでいってしまった。しかしすぐ目の前にその鬼がいて、あまりの速度に背筋が凍った。
(…いったぁー、背中〜。)
体勢を整える前に攻撃をされるので、受け止めることしかできない。
この鬼は三段階の速度がある。
斬撃自体はそこまで強くないが速い。とにかく速い。あと一度斬れば、消滅するという仮説が当たるかどうかは斬ってみないと分からない。
(仕方ないな…。)
──陰陽道奥義 式神 白虎
青白い光と共に白い虎が現れる。彼が攻撃を受けてくれている間に、体勢を整えると飛ばされた舞扇を携えて、鬼門封じに入った。
「白虎!首を斬るから避けて!」
「御意。」
合図でその場を避ける白虎を見届けてから私はもう一度首を斬った。
(…お願い!当たってて…!)
願いが通じたのか体の崩壊が始まった鬼を見てホッと一安心したが、後ろで聞こえた悲鳴に勢いよく振り向くと、巨大な鬼が三人の目の前に立っていた。