第17章 君色日和※
胡蝶のところへ連れて行った後、暫く入院するのかと思っていたので特にほの花に伝えてなかったのも悪かった。
まさかあの女が先にほの花のところに訪ねて行き、根も葉もないことを言われるとは思わなかった。
俺の留守中に、聞いてもいないことを聞かされてさぞかし気に病んだことだろう。
確かに俺ならばその男をボコボコにしてやったかもしれないと考えると、ほの花はきっと大人の対応をしたのだろう。
その代わり、自分にあれほどまでに本音をむき出しに怒ってきたのだ。
考えれば考えるほど、それ自体は遠慮深い彼女の性格を考えると喜ばしいことだと思ってしまうが、内容が頂けない。
傷つけたのは俺の独りよがりな想いだ。
ほの花が継子として申し分のない働きをしている。一般隊士には見えないところでお館様の薬や蝶屋敷で入院している奴らの薬もやりながら、朝は俺が必ずやれと言っている鍛錬も欠かさずやっている。
それにも関わらず、鬼殺隊である以上、任務も回ってくる。薬師の仕事を考慮している量に減ってはいるが、ほの花は変わらずその任務も行っていた。
十分すぎるほどやっている。
他の継子より
他の一般隊士より
下手したら働いてるし、認められていいはず。
だが、一般隊士からしたら明らかに任務が少ないほの花が周りから重宝されているのは面白くないと思う奴もいるのだろう。
それが今回のあの女なのかもしれない。
継子を譲れとほの花に言ってきたらしいが、そもそも俺はお館様に頼まれなければ継子を取ることはしなかったと思う。
派手に面倒臭いし、柱の仕事と継子の育成は骨が折れるからだ。
譲られても俺はそんな女の世話なんて絶対にしない。ただでさえほの花との時間が少ないのに他の女の世話なんて御免被る。
何なら不死川にでも押し付けてやる。