第17章 君色日和※
"宇髄さんなんて大嫌いです!"
ほの花の言葉が頭から離れなくて、鈍器で頭を殴られたかのような衝撃。
泣き喚いた彼女が再び布団に潜り込んだのを見送ると俺はそっと部屋を出た。
(…結構クるな。"大嫌い"は。)
情けないほどに狼狽えて、どうしたら良いのかすら分からなかった。
一歩外に出ると、言い合ってるのが聞こえてしまったのだろう。六人が勢揃いしていた。
正宗が申し訳なさそうに声をかけてきたが、流石にコイツらから謝罪を受けることはできないので手で制して部屋に戻った。
ほの花の言っていたことは衝撃的だったが、噛み砕くのに時間がかかりそうな案件ばかりでため息を吐く。
あんなに怒ったほの花を見るのは初めてだったが、本音でぶつかってきてくれていることだけは唯一嬉しく感じたところ。
それ以外の話の内容は目も当てられないようなものばかりで聞いていられなかった。
言い訳したいところもあるにはある。
膝掛けに関しては、何故そんな風にあの女が言ったかは知らないが、アイツに買ってやった覚えはないし、そう言ったこともない。
ただそれを預けた時に、何か聞かれたので「ほの花にやる」と伝えたのは覚えている。
中身が何かも聞かれたので、他に話題もないので話したと思う。
いつもあの部屋で一生懸命、薬を作っているほの花が隊服の布面積が少ないせいで肌が出てて寒そうだったから買ってやったということも伝えた気もする。
あくまでほの花のために買ったもの。
薄紅色でほの花の雰囲気にピッタリだと感じたから鬼の掃討が終わり、あの女を藤の家に休ませてる時にふら〜っと寄った店で買っただけのこと。
藤の家にも確かに泊まったが、もちろん部屋は別だし、アイツは藤の家のババアに手当を受けていたし、最後担いで来る時以外は一切触れていない。
だが、そんなことほの花は知る由もないし、勘違いするのも無理はない。