第16章 子犬のワルツにご注意を※
「何だよ、夜着が欲しいんなら買ってやろうか?お前の体型に合わせたやつのがいいだろ?」
そうやって宇髄さんが提案してくれるのだが、私は着る物が欲しいわけではないので、慌てて首を振る。
でも、言っておいてなんだが…抱きしめて寝るからそれをくれって……。
めちゃくちゃ不審者?!
気持ち悪い?!
途端に発言を撤回したくなって頭を抱えた。
別に夜着なんてあるから買ってもらわなくてもいい。
それを上手く、気持ち悪くないように伝えるにはどうしたらいいのか考えてみるがちっとも思い浮かばなくて途方に暮れる。
「…?おーい、ほの花。どうするんだよ。いらねぇの?」
「……やっぱり大丈夫です。ごめんなさい。」
そう、やっぱりやめておこう。
どう考えてもマシな言い訳は思い浮かばないし、宇髄さんとて恋人であってもそんな変な理由で使われるのは嫌だろう。
諦めて、自分の隊服を取りに行こうと立ち上がると宇髄さんに手を掴まれて簡単に胸の中に収まってしまう。
「え、あの、宇髄さん…?着替えるので…。」
「なーに、隠したんだよ。言ってみろって。怒ったりしねぇし。」
頭の上から降ってくる声は優しくて、抱きしめられている腕が力強くて、それだけで守られているようで幸せを感じる。
言っても良いのかな…?と考えあぐねていても仕方ない。いっそのこと聞いてみようと後ろを振り向いて言葉を紡ぐ。
「…宇髄さんが任務でいないとき…、宇髄さんの匂いする物が欲しかったんです…。ごめんなさい。変態みたいなこと言って…。」
言ってしまえばもう彼の言葉を待つことしかできないのに、ちっとも発言してくれない彼にどんどんと気分は落ち込んでいく。
(…やっぱり気持ち悪いよね…。)
そう思い、体を前に向けようとした時、熱い唇を押しつけられて性急に舌が入ってきた。
肌蹴た夜着がこのまま情交に突き進んでもおかしくないが流石に体がついて行かないと感じた私は口付けを受けながらもこの後のことで頭がいっぱいだった。