第16章 子犬のワルツにご注意を※
笑いが止まらずにその場で暫く笑い続けるが、なかなか止まらないそれにほの花が少し不満そうな顔をし出したので、潔く謝った。
「悪ぃ、悪ぃ。だけどよ…、何だよ、その理由…!お前な、絶対その由来、人に言うなよ。」
「え、へ、変でしたか…?みたらしころすけのがよかったですか?」
「いや、そこの「の」はどうでもいいわ!!むしろその由来が可哀想だろ!」
理由が出した糞の形態だなんて、ほの花は医療に長けているから排泄物の形態など業務の一つのようなものかもしれないが、一般人からしたら下世話な話に聞こえてしまう。
「そうなんですか…?名前変えた方がいいですかね…。」
「俺しか知らねぇの?」
「はい。宇髄さんにしか言ってないです。」
「ならみたらし団子はもう忘れてやれ。コイツの名前はころのすけってだけでいいだろ。由来は今から小さくてコロコロだからっつーことにしとけ。いいな?」
「わ、わかりました!ご面倒をおかけしました…。」
面倒だとは思っていないが、あまりに天然な発言に色々と心配になるな。
まぁ、ほの花の場合、悪気もないから仕方ないが。
これを聞いたのが俺が最初でよかったと思う。
「さ、そろそろ着替えろ。その格好のままだと俺に襲われちまうぜ。」
俺の夜着に身を包むほの花にそう言うと名残惜しそうにそれに手をかけてチラッとこちらを見た。
「あの、お願いがあるんですけど…。」
「ああ、着替えるんだろ?わーったわーった。出て行くから。」
恥ずかしがり屋のほの花からすれば俺が此処に居た状態で着替えるのは素面では無理なことだろう。
「あ、あの…!そ、そうじゃなくて、…えと、それも、なんですけど…!お願いはそれじゃなくて…。」
「…?どうした?言ってみ?」
「…えと、宇髄さんの夜着、買い替える時に私に一枚頂けませんか?」
「……は?」
あげるのは構わないのだが、明らかにデカすぎるそれは着ることなどできやしない。今も着られているような状態だし、風邪をひかないように羽織らせただけのことだったので、まさかの申し出にキョトンとしてしまった。