第16章 子犬のワルツにご注意を※
耳で揺れるそれは本当に綺麗で私には勿体無いほど。
宇髄さんが私のために買ってきてくれたと考えるだけで胸が熱くなるし、嬉しくてたまらない。
温室が欲しかったのは嘘ではないし、欲しいものが思い浮かばなかったのも本当。
それなのに似合うものを…と選んでくれて、そこに私を考えてくれている時間があるということがたまらなく嬉しい。
「一生、大切にします…!」
「そう言われると嬉しいけどよ。また買ってやるから遠慮せずにたくさん使え。物も使われた方が本来の役割っつーもんだ。」
前に頂いた花飾りが汚れるのが嫌で、一時期大切に仕舞い込んでいたら宇髄さんに見つかってしまい、使うように言われてしまった。
新しいものを買ってくれるのも嬉しいが、その時、その瞬間に私を想い買ってくれたものの代わりはない。
そう考えてしまうと急に勿体無く感じて使えなくなってしまったのだが、よく考えたらせっかく買ってくれたのに使わないのも失礼な話だ。
それを宇髄さんも分かっていたようで、先に釘を刺されてしまうのは致し方ないことだ。
「はーい。ありがたく使わせて頂きます…!」
昨日までと違う私の装いに未だにぴょんぴょんと跳ねているころのすけを捕まえると抱き上げた。
「ころのすけ、可愛い?」
"わんっ!わんっ!"
可愛いって言われてるみたいで嬉しくて顔を緩ませると宇髄さんが変な顔をしてこちらを見ていた。
「何でころのすけっつーの?」
「え?本名はみたらしころのすけです!」
「…みたらし…ころのすけ…?」
「はい!」
「き、聞いても良いか?由来。」
突然、ころのすけの名前の由来を聞かれたので宇髄さんに向き合ってその経緯を話すことにした。
「うんちがコロコロのみたらし団子みたいだったからです!」
物凄い冷たい空気が流れた気がしたような気がしたが、次の瞬間宇髄さんが大爆笑するので私はキョトンとそちらを見て固まることしかできなかった。