第16章 子犬のワルツにご注意を※
ほの花の太腿に己の白濁の欲望を放出すると意識を飛ばしている彼女を起こさないように布団に手をつく。
「…はぁ、っ、ハァ…っ、……」
部屋の中にほの花の声は聞こえない。自分の声だけがその場に響いている。
ほの花があまりに積極的なことをしてくるものだからいつもと違う情交は心地良いほど充足していた。
体から全ての体力を奪うような射精により、思わず天を見上げて、深いため息を吐いた。
しかし、このままではほの花に風邪をひかせてしまう。
己の白濁の欲望はまだしも、潮吹きまでさせてしまっていて、愛液も布団にべったりと付いている状態はこのまま寝るには頂けない。
精液を拭き取るともう一つ布団を敷いてそこに横たえると、布団の惨状に頭を抱えた。
(…こりゃ、また明日俺の人権無くなる系…?)
びたびたに濡れている布団はまるでお漏らしでもしたかのよう。
敷布を剥ぎ取ってみると何とか使えそうではあるが、今度から敷布を余分に敷いてから行為をしないと予想外にこう言うことが起こると布団がいくらあっても足りない。
使い物にならなくなった布団を端に寄せるとほの花の横に寝転がる。すやすやと気持ち良さそうに寝ている彼女を見ると先ほどまでの厭らしい行為が嘘のように爽やかな気分にさせる。
ほの花の顔に触れていると、ふと思い出す。
俺は横たえたばかりの体を起こすと自分の隊服を探し、それを手繰り寄せた。
そこに付いていた腰巾着を取ると、折角綺麗に包まれていた包装を解き中身を取り出した。
「…ほの花、お誕生日おめでとう。遅くなってごめんな。…愛してる。」
それをほの花に付けてやると思った通り、彼女にピッタリで勝手に顔がにやける。
温室が欲しいだなんて言われたが、そんな物を誕生日の贈り物にするなんて自分が嫌だったので勝手に買ってきた。
自分の見立てが良すぎて誰も見ていないのに得意げになる。やはり自分はほの花のことならばよく分かっていると自負していい。
(…つーか、コイツ…ちゃんと朝気付くのか?)
どうも鈍い恋人を見つめるとその天然さに頭を抱えるが、それもそれだ。
俺は漸く隣に寝転ぶと彼女を抱きしめて眠りについた。