第16章 子犬のワルツにご注意を※
そういうことかよ。
だからあんなに怯えたように謝罪して来たのか。
漸くほの花の行動の訳がわかると納得ができた。
「なーんだ。それなら別にお誘いされたら家に行ってもいいんですね?勘違いして恥ずかしすぎますよ…。」
「は?誰でも良いわけねぇだろ。柱なら良いっつってんの。」
「え?柱なら?他の人は駄目なんですか?」
「阿呆か、お前は!柱なら人となりを俺がわかってるから許しただけで、俺がよく知りもしない男の家に行くなんて言語道断だ!つーか、誰かに誘われたのか?あん?」
再びビクビクして、顔を引き攣らせたほの花に沸々と嫉妬心が沸き起こる。
「ええ?!違います!誰にも誘われてないです!例え話ですよ!」
「…本当だな?お前に声をかけた男は血祭りにあげっからちゃんと言えよ。俺の部下とも会ってねぇだろうな?」
「お会いしてませんよー。お茶出しくらいしたかったのに。」
「…は?」
「イ、イエ!ナンデモアリマセン!ナニモシテマセン!」
柱は良い。コイツが俺の女だと死ぬほど公言したし、どんな奴らなのか分かっているから。
でも、一般隊士など顔と名前が一致するやつなんて数えるほどしかいない。
そんな奴らに俺とほの花の関係がそこまで浸透しているとは思えないし、知られていたとしてもこの前みたいに知らないところで声をかけることだってあるかもしれない。
また手拭いなんかもらってみろ。俺はその場で燃やして消し炭にしてやる。
「や、やっぱりいつもの宇髄さんだ。」
「いつもも何も俺は何にも変わってねぇ。味方を増やしただけだ。何かあった時にお前を助けてくれる奴らは多い方がいいからな。」
「……なんか、宇髄さんの底知れぬ愛を感じます。」
「だから言ったろ。俺は変わってねえって。飽きるわけねぇだろうが。早くお前に会いたくて死ぬほど早く帰って来たっつーのに。」
どうやったらこの想いを抑えられることができるのか逆に聞きたいくらいだ。
毎日毎日ほの花を想わない日はない。
日毎に更新されていくこの感覚が彼女と一緒ならばいいのにと思ってしまうほど。