第16章 子犬のワルツにご注意を※
宇髄さんが全然怒ってない。
それどころかめちゃくちゃキョトンとしてる。
え?何で?いつもならめくじら立てて怒るところだろう。
あまりに飄々としている宇髄さんに今度は別の心配が頭をよぎる。
「…え、まさか宇髄さん、私のこと飽きましたか?」
「は?はぁ?はぁああ?!何だよ、それ。飽きるわけねぇだろうが!舐めてんのか?俺のこと!」
「ひ、ひぇぇっ、ご、ごめんなさい…!」
そこは怒るの?!
もうわけがわからない。不死川さんの家に行って怒っていたのは幻だったの?!
ビクビクしながらも真相を聞かなければもうどうにも腑に落ちないので、勇気を出して聞くことにした。
「え、だ、だって前は不死川さんの家に行って怒ってたじゃないですかぁ!」
「あー、あんときはお前のことを俺の女だって言えねぇ時期だったろ?今は柱には公言してっから柱なら俺に隠れてコソコソほの花に手を出す奴らはいねぇって。しかも冨岡だろ?絶対ないね。」
そ、そういうこと?!
取り越し苦労というかなんというか…これって逆にめちゃくちゃ恥ずかしいのではないか?
"他の男の人の家に行って宇髄さんに怒られちゃうー!"なんて冨岡さんにまで言って恥の極みだ。
恥ずか死んでしまう。
「…うー。何だぁ…めちゃくちゃ恥ずかしいです…。宇髄さんに怒られちゃうと思って…。もう土に埋めてください…。」
「そんなことで埋まるなって。アイツさ、言葉じゃ言わねぇけど、胡蝶のこと気に入ってるっぽいからよ。余計にほの花には手を出したりしねぇってこと。お前に飽きるわけねぇだろ?ばーか。」
「え?!そうなんですか?!冨岡さんと…しのぶさん…?!素敵ですねぇ!お似合いです!」
そうなのか!表情は読めないが、冨岡さんがしのぶさんのことを気になっていたのであれば私なんかに見向きもしないだろう。
それにしても宇髄さんがいつも嫉妬してくれすぎて、自惚れすぎていたことにはもう本当に埋まりたい。暫く埋まって反省したら出してほしい。
それくらい私の頭は羞恥心でいっぱいだ。