第16章 子犬のワルツにご注意を※
「…それは…宇髄に怒られやしないか?」
「あ…やっぱり飼うこと前提なのが怒られますかね…。」
「いや…そちらではなくて…。」
「あ!でも、私!今あんまり家に居たら駄目だと言われているんです!なので逆にいいと思います!!」
実際に家にいるなと言われたわけではないが、彼は部下の人の前に姿を見せるなと言った。
それは要するに家に居なければ会わなくて済むのだから一石二鳥ではないか…!
自分が天才なのではないかと思い、顔がニヤけてしまう。
「…本当にいいのか?」
「え?大丈夫ですよ〜!宇髄さんはなんだかんだで優しいので三日預かってもらったくらいのことは許してくれると思います!」
「…だからそちらではなくて…。」
「冨岡さん、宇髄さんのこと怖いですか?大丈夫ですよ!万が一怒られたとしても私が庇いますので!」
「…だからそちらでは……、(…もういいか。面倒臭くなってきた)」
「お家はどちらですか?私、この子のごはんを買ってから伺います!!」
相変わらず、表情は変わらないまま住所を聞くとその場で別れる。
宇髄さんってわんちゃん好きなのかなぁ。
でも、面倒見がいいし、きっと動物には好かれそうだ。
あの広い庭を走り回るころのすけを想像するとほわほわ…と心がほっこりする。
動物は最高の癒しをくれるのだ。
三日分のころのすけのごはんを買い込むと冨岡さんの家に向かう。
言われた住所はこの近くで恐らく帰る途中のところにばったり出会したのだろう。
この前会ったときも(ぶつかった)この辺だったのを思い出す。
冨岡さんの好みは全く分からないが、お世話になるのだから菓子折りでも持って行ったほうがいいだろうと踏み、途中で購入する。
冨岡さんは宇髄さんとはまた違った綺麗な顔をしているけど、嫁はいないと言っていた。良い人くらいいるのだろうからあまり入り浸らずに此処ぞとばかりで今回は宇髄さんの女を主張しようと心に決めた。