第3章 立ち振る舞いにご注意を
「失礼します……」
正宗が入ってくると私たち三人の状態を見て固まった。それはそうだ。
片側には雛鶴さんが膳を持ちながら鎮座しており、もう片側にはまきをさんと須磨さんが取っ組み合っている。
「あら、正宗さん!おはようございます!お食事の準備できてますよ?召し上がってくださいね。」
「あ、ありがとう…ございます。」
暫くこの状況を眺めると、打開策でも思いついたのか雛鶴さんの横に座ると私たち全員と向き合った。
「ほの花様にも我々にも良くしてくださりありがとうございます。実は少しほの花様と話がしたいのですが…?」
席を外してもらってもいいかとやんわりと言う正宗に喧嘩していた二人もこちらを向き、三人で顔を見合わせると「ごゆっくり〜」と潔く出ていった。
襖が閉じるのを確認するとぼふんと布団に倒れ込む。
「…はぁ〜…助かったよ。正宗ー。ありがとう。」
「いえいえ。朝から賑やかなので様子を見にきたんですよ。体は大丈夫ですか?」
「あ、うん!それは大丈夫!そこまで悪いわけじゃないんだけど宇髄さんから暫くは寝てろと言われちゃって…。」
そんな寝込むほど悪いわけではないし、食欲は無いけどだいぶ食べられるようになってきたと思う。ほとんど喉を通らなかったのに昨日はうどんとお粥が食べられたのだ。
宇髄さん様様だ。
「それは師匠の命令なのだから大人しく聞いておくべきですよ。」
「そう、だよね。うん。分かった。隆元と大進は?」
「もう起きて朝餉を食べております。ぞろぞろ行くものでもないかと思い、私だけで来たんですよ。」
なるほど。
彼女達に悪気はないと思うし、好かれるか嫌われるかだったら断然好かれたいのだから嬉しい気持ちはもちろんある。
それを差し引いても若干ボーッとしていた頭ではなかなか気の利いた返しもできそうになかったので正宗には感謝だ。