第3章 立ち振る舞いにご注意を
──翌朝
まず誤解のないように言うととても有難いという感情が一番最初にくる。
だけど、"寝ろ"という師匠?上司?命令を遂行しようにもそれができない状況は困る。昨日散々体調不良で迷惑をかけたのだから下手したら咎められる事案だ。
そして遂行できない理由が彼の奥方様達ならば無下にできないというものだ。
「ほの花さん!天元様から体調が落ち着くまで寝かせてやれと言われてますので何なりと言ってくださいね?」
「は、はい…。ありがとうございます。」
雛鶴さんがニコニコとそう言ってくれるので三人が朝っぱらからここに押しかけてきた理由が彼が頼んだのだということは分かったが、きっとこう言うことを頼んだのではない…と思う。
「そうだ!朝食を召し上がりますよね?お粥を作ってきたんです!」
寝ていたところ飛び込んできた三人に起こされたばかりであまり食欲がないのだが、膳を突き出して嬉しそうに笑う雛鶴さんに釣られて笑うことしかできない。
「私が魚を焼いたんです!ほの花さん、お魚は好きですか?」
「あ、は、はい。好きです。」
「私はお皿を並べたんです!そのお皿の配置は私がやったんですーー!!」
「え?あ、は、はい。えっと綺麗に並んでますね…」
どう答えるのが正解なのかさっぱり分からない。宇髄さんに彼女らに誤解されないように振る舞うと約束はしたが、誤解も何も歓迎されているようだし、こうやって構ってもらえるのはありがたいし、嬉しい。
須磨さんはどうやら少しドジっ子のようでよくまきをさんに怒られている。
ほら…また始まった。
「あんた馬鹿?!そんなことほの花さんに言ってどうすんのよ!」
すると目の前でまきをさんがまた須磨さんを小突いた途端に目に涙を溜めて泣き出すので天井を見上げた。
どうしたらいいの〜…。
「ほの花様?おはようございます。入っていいですか?」
きっとこの騒ぎが聞こえてきたのだろう。
正宗の声が聞こえると彼がまるで神様のように感じたのは致し方ないことだ。