第16章 子犬のワルツにご注意を※
お風呂掃除に庭掃除に食事の配膳…
宇髄さんに課せられたお仕置きが申し訳なさすぎるので、三人の目を盗み手伝おうと思ったのに、彼に「いいって。俺が悪ぃんだから」と言って取り合ってくれなかった。
しかし、手伝ったら手伝ったでまた彼が怒られてしまうかもしれないと考えると此処は大人しく見守っていた方がいいのかもしれない。
その上、柱である以上、日々の任務は激務だし、終わったらそのまま「行ってくるわ」と行ってしまう。
夜は鬼を掃討するのが早く終われば帰ってくることもあるが、警備だと朝まで帰ってこないわけで夜明け頃、布団に宇髄さんの温もりを感じる。
部屋は別なのだが、最近では夜は一緒にいることが多いので、情交の有無はその日によるが彼を感じられる時間は確保されている。
そんなお仕置きが終わる頃、任務終わりに宇髄さんが声をかけてきた。
「ほの花、遅くなっちまったけど、明日から温室作らせるからよ。ちょっと待ってな?」
「え、いやいや!忙しいのにごめんなさい…!ありがとうございます!」
「ばぁか。俺が時間を作ってでもやりたいのはお前のことだけなの。痕もほとんど消えて良かった。っつーことで今日の夜からヤれんな!」
ニカッと笑う宇髄さんの笑顔は爽やかだが、言っていることは随分と低俗的。それでも少しだけ嬉しいと感じてしまうのは私も彼に調教されている証拠だ。
「あはは…お、お手柔らかに…。私、今日は産屋敷様のところに行って、しのぶさんのところに寄ってから帰ります。」
「おー、遅くなるんなら音花に伝言よこせよ。迎えに行ってやるから。」
「はーい。」
「お前の返事がいい時は全くアテにならねぇ。」
「…そんなことないですよー。信用ないですね。」
「前から言ってっけど、そこに関しては無ぇ!」
自信満々にそう言われてしまうとぐうの音も出ないが、日頃の行いだと思い、ため息を吐く。
いつもと同じように「アレは使うなよ」と言う彼との約束を守れるかどうかも分からないのに返事をすることが心苦しい。