第16章 子犬のワルツにご注意を※
「天元様は……暫くほの花さんに近づかないでくださいぃ!!」
「はぁ?!須磨、てめぇ、ほの花は俺の女だぞ、返せ!!」
「返しませんーーー!ほの花さんが汚されちゃうぅーーー!」
「もう何度も抱いてるわ!返せ!」
「きゃぁああっ!卑猥ですぅーーー!!」
ほの花の手を引いて部屋の中を逃げ回る須磨に追いかけるがその後、雛鶴の雷が落ちて俺は再び正座をさせられた。
「…天元様?嫉妬に狂うのは結構ですが、ほの花さんのお体のことも考えてくださいね…?任務もあるかもしれないのにこれでは隊服からあなたの欲望の証が見えて、ほの花さんが痴女に見えてしまいますからね。二回目ですけどね、これ。」
「面目ねぇ。」
「……ふふ?」
「誠に申し訳ありませんでした…。」
おいおい、俺この家の主人じゃねぇの?
何だ、この扱い。いや、そうさせるほどのことはしたとは思うが、俺可哀想すぎやしねぇか?
ほの花だけがそんな俺を心配そうに見てくれるが、抱きしめることも敵わない。
須磨が抱きついて離れないからだ。
「…お風呂掃除と庭の掃除と食事の配膳は…」
「…するする。」
「…ふふ?」
「や、やらせて頂きます。」
もう今日はこれ以上怒らせないことに限る。
こりゃ暫く抱くことも叶わないかもしれないと考えると発狂しそうだ。
甘んじて風呂の掃除だなんだは受け入れるとして、まさかコイツら夜もほの花と寝るとか言いださねぇだろうな?
そんなことされた時にゃ、俺は死ぬぞ。
ほの花不足で。
抱かないにしろ、せめて抱きしめて寝たいと言うのに。
まぁ、任務が入りゃあ叶わないが。安息の地の確保は死活問題だ。
「付かぬ事聞きますが…夜は…いいよな、い、いいですか?」
「…駄目と言ってもどうせ夜這いするじゃないですか。でも、絶対に見えるところに付けないでくださいね?」
その瞬間の俺は拳を高々に掲げて悦びに打ち震えた。
こんなんでほの花と触れ合えないなんて地獄の沙汰だ。