第16章 子犬のワルツにご注意を※
「天元様は今日から一週間お風呂掃除と…」
「庭掃除と…」
「御飯の配膳ですぅううううっ!!!」
「……はい。」
ビシッと指を突きつけられると俺は元嫁三人にこっぴどく叱られている。理由は簡単だ。
「あ、あの…この件に関しては私も悪くて…、だから宇髄さんは…」
「ほの花さんは黙っててくださいぃっ!」
「ひぇえっ…!」
何故だかほの花まで怒られたことで俺の腕に掴まってきたが、この三人の怒りの矛先は完全に俺だ。
「な、ん、ですか?!これは?!」
「あれほど控えてくださいと言ったはずですが?」
「これ、結構隠すの大変なんですよぉ〜!?骨が折れるんですぅーー!!」
今度はほの花のある一点を指差してめくじらを立てて怒っている。そこにあるのは俺が付けた"所有印"
それはそれは大量に。
よく見たら噛み痕まであるからほの花は肉食動物に襲われたのではないかと思うほど。いや、いっそのことそういうことに……、無理か。
まぁ、簡単に言えばこの家の俺の人権はしばらくなくなったと言える。
「はぁ…ほの花さん、痛くないですか?これなんて鬱血しすぎ…、しかも、歯型みたいなのも付いてる…!!天元様ぁ…?」
いつもは三人の中でも大人しくて冷静な雛鶴までもが俺に向かって眉間に皺を寄せて辛辣な言葉をぶつけてくる。
正座をさせられている俺(と何故かほの花)
は肩を竦ませてその苦言を甘んじて受け入れている。
これは自分が悪いのだから。
「…すみませんした。」
「"大変申し訳ありません、ご面倒をおかけします"ですよね??"すみませんした?"」
「た、大変申し訳ありません、ご面倒をおかけします…。」
「あ、え、も、申し訳ありません…!!」
まきをの凄みに俺が素直に謝るものだからほの花まで頭を下げて誰よりも土下座をしている。
呆れて顔を上げさせるが須磨にほの花を奪われてしまう。