第15章 君が生まれた日※
温室…?
温室って…。
ほの花が欲しいと言うならば何でも買ってやりたい。いや、この場合作ってやりたい、だが。
ほの花が欲しいと言う理由も納得できる。またあそこまで取りに行くのはさすがに骨が折れるし、ほの花自身も育てようとは言っていたのでこうなることは分かっていた。
そういえば彼女の実家でも温室のようなところで育てられていた。
だが…
誕生日の贈り物に温室…。
温室って……。
「…何つー色気のねぇもん…。」
「や、やっぱり、駄目ですか…?宇髄さんのお家に居候がそんなもの欲しいなんて図々しいかなぁって思ってはいたんです…!なので、違うものにします!んーー、欲しいもの…。」
は?コイツ、今何つった?
うーん、と唸っているほの花を信じられないと言った表情で睨んでやるが、此方の不満は伝わらない。
「…おい、誰が居候だって?」
「え、…ひぇ?!な、何か怒ってます?何で?!え、す、すみません。すみません、すみません!ごめんなさい!」
「テメェ、居候って何だ?ふざけんなよ、お前は俺の女だろうが。」
「えぇ…そ、そうです、けど…、住まわせてもらってるのは変わりない…」
「俺の女なら此処に住んでいいに決まってんだろ。そんでもって此処はお前の家でもあんだよ。何が居候だ。もう一発、ぶちこまれてぇのか?」
「は、はい!!す、すみませんでした!!」
腕を掴み、凄む俺にぺこぺこと頭を下げるが、絶対にコイツは分かってねぇ。
遠慮深いのは良いところでもあるが、この家が自分の家ではなく俺の家だと思っている時点で、そんな家で心から安らぐことなどできやしない。
「お前の両親の前で俺は将来ほの花を娶るつもりだと言ったはずだ。」
「はい、仰っていました。ありがとうございます。」
「それはどういうことだ。」
キョトンとしているほの花に最早呆れてしまう。コイツの思考回路はどうなってんだ。
「俺の婚約者ってことだろ。将来の嫁は家族同然だ。お前がこの家で遠慮することなんか微塵もねぇんだよ。分かったか?」
理解に苦しむが、それでもそんなほの花もほの花。わからねぇならわかるまで伝えてやる。
それが俺の無性の愛だ。