第15章 君が生まれた日※
ど、ど、どうしよう…
宇髄さん、めちゃくちゃ怒ってる。
独占欲は強いけど、私のことを好きでいてくれるからだし、それ自体気にしたことはなかった。
だっていつもそれでもとても優しいから。
こんな風に怒りを剥き出しにしている宇髄さんを初めて見て困惑している。
「あの、宇髄さん…?」
「黙ってろ、舌噛むぞ。」
その声は冷たく感じた。
まるで私のことを要らないものとでも言うかのように遠くに放り投げられたような…そんな感覚。
途端に怖くなった。
宇髄さんに捨てられてしまうのではないか?
このままお別れすることになってしまうのではないか?
考えると恐怖で頭がいっぱいになった。
無言で屋敷に帰ると声をかけてきた雛鶴さん達に「俺の部屋に近づくな」とピシャリと言うとそのまま襖を荒々しく開けた。
ズンズンと進み、硬い畳の上に下ろされるといきなりぐちゅりと、舌をねじ込む口付けをされる。
「んん、ッ…ふぅ!」
唾液の絡み合う音しかしないそこはいつものような甘い空気はない。
冷たい目で私を見ている宇髄さんが誰なのかわからないほど。
それでも手のぬくもりだけは宇髄さんで、荒々しくも性急に隊服の中に手を入れると強く胸を揉みしだかれた。
痛いほど強くて顔を歪ませても彼はやめてくれない。
怖くて制止もできないというのもあるが、結局のところ彼に触れられてしまうと勝手に体が感じてしまうようになっているのだ。
胸の頂をつねられても体はびくんびくん反応してしまう。
唇が首筋に降りてきたと思うと最近は付けないように善処してくれていたというのに問答無用で吸い付いてきた。
ちり…という僅かな痛みを感じるほど吸い付かれるが、数が増えていくほどに彼の怒りと悲しみと愛を感じていた。
誕生日を言わなかったのは私の失態だ。
言い訳もできない。
手拭いの件も然り。
宇髄さんを怒らせて悲しませたのは私だ。
だからこの行為は彼の行き場のない想い。
その想いを私は全力で受け止めなければならない。