第15章 君が生まれた日※
俺は今、頭で物凄く整理をしている。
先週、桃の節句があった。まぁ、三月三日だが、此処には幼女はいないし、表立って祝うようなことはないが多少の節句を意識した料理をあの三人が作ってくれたくらい。
その時、ほの花は入院していてその翌日に退院してきた。
で、……?いま、三人のうちの誰かがその日が誕生日だったという事実を知らされたと思ったのだが…。
「…は?ほの花?」
「はい。」
「桃の節句が?」
「は、はい。」
「誕生日……?」
「は、…は、はい。」
申し訳なさそうにどんどん小さくなる正宗と反し、沸々と湧き上がる何かが溢れ出しそうな俺。
状況を整理すると…
「…ほの花の誕生日が先週の桃の節句の日だったっつーことでいいか?」
「お、仰る通りでございます…!!」
「……はぁあああ?!?!?!ちょーーーっと待てぇぇっ!?アイツ、俺に一ッッ言も言わなかったぜ?!」
そうだ、アイツ…。
毎日会いに行っていたと言うのに一言もそんなこと言っていなかった。
いや、そもそも誕生日がいつだと言う話すらしたこともないが、普通言うだろ?!アイツ、俺の誕生日はわけのわかんねぇ祝い方しようとしてたじゃねぇか。やめさせたけど。
「す、すみません…!やはりご存じなかったですか…!」
「知らねぇ!つーか、アイツ…何で言わねぇんだよ。」
「恐らく…普通に忘れているかと…。」
「……は?」
俺は一体何度驚けば良いんだ。
申し訳なさそうに下を向いて謝る三人を見るが、コイツらに非はない。
どちらかと言えば俺も聞かなかったのが悪かったとは思うが…普通誕生日忘れるかよ。
「…昔からのご自分の誕生日をよく忘れていらっしゃるので…。悪気はないと思うんです…。」
よく忘れてるだと?これはよくあることなのか?しかし、恋仲となって初めての誕生日を祝えなかった俺の立場は無ぇぇ!
アイツ…帰ってきたらどうしてくれようか。
「当日忘れてるのは仕方ねぇけど、普通言うだろ!?もっと前に!」
「は、は、はい!な、何故でしょうか…。自分には分かりかねます…!」
そりゃあそうだ。
コイツはほの花本人じゃないし、コイツ相手に凄んでも何の意味もない。