第15章 君が生まれた日※
「……まぁ、それは頑張ってくださいね!!応援しています!さて、報告って何でしたか?」
いや、しのぶさん、華麗に私のことを見捨てた!!
笑顔の彼女の無慈悲な言葉で思わず腕に掴まって助けを求めるが…
「そっちは自分で何とかしてくださいね、身から出た錆ですよ」
「ああ…また心の声が…。」
「間違いなく言いました。この口で。」
「しのぶさぁん…。」
「可哀想ですし、ほの花さんのことは大好きですが…頑張ってください。さ、報告とは?」
もう早く報告だけ伝えたら宇髄さんが此処に乗り込んで来る前に早々に立ち去ってくれとでも表情が物語っている。
仕方なく産屋敷様の家で一秒間使ったこととその際の症状を伝えるとそれをスラスラと書き留めて、「はい!わかりました!まだ何か?」と「早く帰ってくれ」という雰囲気に仕方なく部屋を出る。
「ほの花さん、カナヲが会いたがってましたよ。顔だけ見てやってくださいね。」
「はーい…。」
「ふふふ。頑張ってくださいね〜。」
助けてくれる気はないのだろうが、まだ屋敷内にいることは許してくれたようなので、カナヲちゃんのところに行くことにした。
彼女の可愛いご尊顔を見て癒されよう。
癒されてから帰ろう。
そう思うとカナヲちゃんの部屋に向かって、お喋りを堪能する。
同じように贈り物の件と誕生日を伝え忘れていた件を伝えてみると冷や汗をダラダラ垂らして困った顔をしているカナヲちゃんに申し訳ない気分になった。
「…あの、ごめんね。困らせて…。でも、もう大人しく宇髄さんに怒られるしかないんだー…。」
「音柱様って…ほの花ちゃんのこと大好きだもんね。すっごく怒りそう…。」
「…派手に怒られると思う。」
「そうだね、派手に…。」
二人して絶望に打ちひしがれていると、夕陽が差し込んできたのでもう夕方か…!と慌てて胡蝶邸を後にする。
遅くなりすぎると心配させて余計に怒られてしまう。
宇髄邸へと急いでいると音もなく急に体が浮いて驚いたが、その瞬間の匂いが誰のものなのか分からないわけではない。
「……宇髄さん…。」