第14章 【VD特別SS】初めての愛をあなたに…※
出来上がった"がとーしょこら"を贈り物として包むと各自部屋に持ち帰り、今日の夜に渡すということになった。
宇髄さんは遠方の任務で今日の夜には帰るはずだけど、怪我などしていないだろうか。
疲れているかもしれないし、サクッと渡してすぐに休んでもらえたらそれでいい。
そう思って、部屋でゆったりと寛いでいると窓の外から勢いよく"音花"が入ってきた。
「ほの花ーーッ!胡蝶邸ニテ怪我人ノ手当ーーッ!至急応援求ムーーッ!」
「えええっ?!い、今から?」
「急ゲェェッ!」
「わ、わかった、わかったよぉー!」
急いで隊服に着替えると、雛鶴さん達に事情を説明して宇髄さんが帰ってきたらしのぶさんの家にいることを伝えてもらうことにした。
「ええーーっ!こんな日にツイてないですよぉー、ほの花さん…。」
「仕方ないです…。皆さんはちゃんと十四日に渡してくださいね?!それでは!」
怪我人の手当てを頼まれるのはよくある。
外に出るといつの間にか辺りは真っ暗。
本当にそろそろ宇髄さん帰ってきてしまうだろう…としょんぼりしたのも束の間。
(…ひょっとしたら宇髄さんの隊の任務で出た怪我人…?)
途端に怪我をしたのが宇髄さんかもしれないと思うと居ても立っても居られなくて、大急ぎで地面を蹴飛ばす。
こんな時、宇髄さんほどの足の速さがあればと心底思う。
しかし、今はそんなことを言っていても仕方ないので自分が出来うる最高速度で胡蝶邸に急ぐと確かにそこは怪我人で溢れ返っていた。
「ほの花さん!」
怪我人をかき分けてしのぶさんのところへ向かうとホッとしたような表情の彼女がいた。
「しのぶさん!応援に来ました!」
「思ったより強い鬼だったようで階級が下の隊士がバタバタとやられてしまってこの有様です。今、不死川さんが応援に行ってくれたのでそちらは大丈夫なんですが、こっちがてんやわんやで…。ごめんなさいね。」
「いえ!急いでやりましょ!重症の方から順に!」
上手くいけば今日中に戻れるはず。
そうしたら"ばれんたいん"にちゃんと宇髄さんに贈り物ができる。
私はできないくせに"全集中!"と叱咤激励をして怪我人の手当てを始めた。