第14章 【VD特別SS】初めての愛をあなたに…※
四人でそれぞれかき混ぜた生地を鉄鍋で焼いているとふわふわ〜と甘い香りが湯気に乗って漂ってくる。
その間に先程湯煎しておいた"ちょこれぇと"を型に流し込み、"くっきー"の生地を作る。
「それは何ですか?」
「これはしのぶさんとカナヲちゃんと蜜璃ちゃんにあげようと思いまして。ついでに私たちの暫くのおやつにしましょう!」
「あら、それは良いですね!」
「わーい!おやつですねぇぇ!」
何処でも女子は甘いものが好き。
三人とも時間が合えばおやつを一緒に食べたり、甘味処に一緒に行っていた……。
あれ?そう言えば最近、一緒にお出かけしていないなぁ…。誘おうと思ってもいなかったりすることが多い。
「…最近、一緒に甘味処行ってませんけど…ひょっとしてあの三人とお出かけしてたんですか?」
「「「えっ…?」」」
白々しく惚ける三人に納得した。
通りで六人ともいないことがよくあったから変だと思っていたのだ。
まぁ、そういうことならば私がいたら野暮というもの。
「ほの花さんも、天元様と行ってきたらいいですよぉー!!えへへ。」
「そうですね…。でも、宇髄さんは忙しいし、たまには私とも遊んで下さいね。正宗たちに取られてちょっと寂しいです〜…。」
"くっきー"生地を練りながら、少し唇を尖らせて拗ねたように言ってみると三人が後ろからぎゅーっと抱きしめてくれた。
「もちろん!たまには女四人で行きましょう!」
まきをさんがヨシヨシと頭を撫でながらそんな風に言ってくれたので嬉しくなって顔を綻ばせた。
宇髄さんのことは大好きだけど、彼女達のような女友達もとても大切だ。
女性に恋心を抱かれて困惑していた時代もあったが、こうやって女同士の付き合いができるのは嬉しくて仕方ない。
"ちょこれぇと"を冷たい食材庫の中にいれて冷やして、"くっきー"を鉄鍋で焼き出すと須磨さんが味見と称して食べたことでまたもやまきをさんと喧嘩を始めた。
そんな二人をニコニコと眺めながら、雛鶴さんと笑い合う。
まるで四姉妹にでもなった気分で心が暖かくなった。