第14章 【VD特別SS】初めての愛をあなたに…※
そう言うことなら"ちょこれぇと"と"くっきー"はしのぶさんやカナヲちゃん…あ!蜜璃ちゃんにも渡そう。
卵に牛乳、それに"ちょこれぇと"。
そして小麦粉に…、滑らかな食感にするために母は絹ごし豆腐を入れていた。
それと蜂蜜。
宇髄さんは蜂蜜を少なめにしておこう。
「宇髄さんは甘さ控えめにしておきますが、皆さんどうします?」
「…どうしたらいいです?」
三人で顔を見合わせて聞いてくるので、三人の嗜好を思い出してみる。
毎年作っていたし、彼らは家族同然でよく私の家で食事もしていて衣食住を共にしていたと言っても過言ではない。
まさに兄同然。私の兄は七人だったのかもしれない。
「…えーっと、正宗はちょっと甘いくらいが好きで、隆元がすごい甘党だから甘めで大丈夫です。大進は甘さ控えめでいいと思います!」
「「「………。」」」
思い出しながら、事実をそのまま言ってみただけなのだが、何故か少しだけ不満そうな顔をしている。いや、しているのは須磨さんだけだが。
雛鶴さんとまきをさんは何とも言えない表情をしている。
「…え、と…何か私失礼なことを言いましたか?」
「ほの花さん、大進様のことよく知ってて狡いです……。」
「へ?!」
狡い?
え、狡い?!
あまりに突然の須磨さんからの苦言に何も言い返せずに口をポカンと開けてしまった。
「ちょっと須磨!あんたねぇ!教えてもらうんだから!」
「だってぇーー!私も大進様のこともっと知りたいのにぃー!!狡いですー!」
「そりゃ、私だってちょっとは…羨ましいなとは思ったけど、直接そんなこと言うことないでしょ?!ほの花さんに非はないじゃない!」
「そうですけどぉ…!大進様ったらすぐにほの花様、ほの花様って言うから悔しいんですもんーー!!」
いつもの喧嘩が始まってしまったのでオロオロとしていると雛鶴さんが「二人ともその辺で…」と止めに入ってくれて、台所には静寂が訪れた。