第14章 【VD特別SS】初めての愛をあなたに…※
普段は"ちょこれぇと"と"くっきー"だけなのだが、今回は宇髄さんに特別な"がとーしょこら"を作るつもりで準備していた。
母がいつも父のためだけに作っていたそれは味見はさせてもらったことがあるが、一度ももらったことはない。
"ばれんたいん"でさえなければたまに作ってくれたことのあるそれは甘さ控えめで父好みの味。
宇髄さんも甘いものは嫌いじゃないようだけど、私ほどたくさんは食べないので、甘さ控えめでちょうどいいだろう。
台所に行き、材料を広げると三人に向き合った。
「宇髄さんには特別に"がとーしょこら"を作るんですけど、三人も同じもの作りますか?それともさっき言った"ちょこれぇと"と"くっきー"を一緒に作ります?」
「「「同じ物で!!」」」
「あ、は、はい。正宗達には"ちょこれぇと"と"くっきー"でいっか。」
彼らには毎年、それを渡しているので同じ物を渡そう。今年は奥様の分まで作れなくて残念だなぁ…なんて感情に浸っていると隣にいた須磨さんが腕を掴んできた。
「あ、あの…、大進様には、ほの花さんはつ、作らなくて良いですぅーー!」
「…え?」
「ちょ、あの!隆元様にも…!」
「へ?!」
「…あの…正宗様には、私が作りますので…。」
「は、はい?!」
須磨さんが言ったのを端切りにまきをさん、雛鶴さんまでもが元護衛である三人のお菓子を作らなくて良いと言う。
その場で目をパチクリとさせて三人をぐるりと何周でも見遣るが、目を逸らされたままで顔は赤い。
まさか……
「え…?!さ、三人とそう言う関係なんですか?!」
「ち、違いますぅーー!そういうのではないですけど…。」
「ただ…渡したいなぁって思っただけで…!」
「いつもとても良くしてくださるので…御礼を…と思いまして…。」
否定はするが、なかなかの歯切れの悪さ。
深く聞いてしまってもいいのだろうか?と思いながらも顔を真っ赤にして下を向く三人はそれだけで状況を表しているようなので野暮なことを聞くのはやめた。