第14章 【VD特別SS】初めての愛をあなたに…※
「でも、天元様…他の男性にも同じものを贈るの怒りません?」
「やだぁー!まきをさん!流石に同じものは渡さないです!宇髄さんのだけは特別なものを作るつもりですよ〜!」
流石の私も宇髄さんが同じ物を渡された時の怒り狂った顔がすぐに思い浮かんだし、ちゃんと特別な物を作って渡す予定だった。
「それなら良さそうですね!特別とか言ったら天元様喜びそうです!」
まきをさんからもそう言われたので余計に意気込むと雛鶴さんにツンツンと肩を突かれた。
振り向くと頬を少しだけ染めて目を彷徨わせていて、何だかとても可愛かった。
「あ、あの…もし良ければ…私も一緒に作ってもいいですか?」
「え!雛鶴さんずるーーいっ!私も!私も作りたいですぅーー!」
「ええーー!私も!!ほの花さんー!お願いします!」
三人ともが誰かに渡したい人でもいるのだろうか?揃いも揃ってちょっとだけ頬を染めていてキョトンとしてしまった。
でも、いつもは母と作っていたのだから一緒に作る人がいると言うのは楽しいものだ。
私は三人に「もちろんです!」と返事をすると一緒に台所に向かった。
「三人とも誰かにお渡しするんですか?」
「え、い、いえ、その…」
「そう、べ、別に…」
「て、天元様じゃないですからねぇ!誤解しないでくださいよぉ?!」
「…え、あ…は、はい。」
挙動不審な三人に今度は私が疑問符を浮かべてしまう。
宇髄さんの元奥様達三人なのだから、宇髄さんに渡すのは良いと思う。
本音を言うと違う人であってほしい…!とは思ってしまうが、彼女達のが先に出会っているわけだし、後から出てきた私が奪ってしまった感覚は凄くある。
本人達は"何も気にしてませーん"という風に変わらず接してくれるが、それこそ究極の愛なのではないかとどうしても先に出会っている彼女達を羨ましく感じてしまう。
そんなこと宇髄さんに言ったら、私の意識が飛ぶまで抱き潰した挙げ句の果てに羨ましさが無くなったと言うまで暫く床から出してもらえないと思う。
だけど、宇髄さんの問題ではない。
私自身が勝手に感じてしまう心模様。
彼女達が気にしていないと言うように私もそうする努力が必要なのだ。