第14章 【VD特別SS】初めての愛をあなたに…※
「"ちょこれぇと"と"くっきー"を作るんです!」
「「「"ちょこれぇと"と"くっきー"?」」」
三人が不思議そうな顔でこちらを見ている。
そう、我が家の文化は特殊なもので、町に出てもそんな行事ごとで盛り上がっている様子はない上に、異国の洋菓子はあまり馴染みがない。
不思議そうな顔をするのも無理はない。
「私の母の国では割と有名なお菓子らしいのですが、此処の国ではあまり馴染みがないですよね!美味しいので是非食べてみてほしいです。」
「わぁっ!食べたいですぅ!」
「でも、唐突ですね?お菓子作りをしているところなんて見たことなかったような…?」
「あら、まきを。暇な時間は天元様が四六時中ほの花様にひっついていらっしゃるから無理よ。」
「「確かに〜!」」と笑い合う三人をみて苦笑いを浮かべるが、たまたま宇髄さんは今日、任務で不在。
それも一昨日から長期任務で帰ってきていない。
寂しさは募るが"ばれんたいん"を初めて渡せるということに気づいた私は気分がウキウキと弾むようだった。
「実は異国ではこの日男性から想いを寄せる女性にお菓子の贈り物をするという行事があるんです!」
「男性から女性に?ですか?…ん?」
雛鶴さんの疑問符は最もだ。
それならば、何故私がお菓子を作ろうとしているのか…というところに行き着くのだから。
「…なんですが…、我が家では母しかその行事を知らないので、催促するのも悪いと思ったのか母が女性から想いを寄せる男性に渡す日にしてしまったんです。だからこの日は我が家では女性から好きな男性にお菓子を贈る日なんです!」
「「「なるほど〜。」」」
「正宗たちにも渡してたんですよ〜。想い人ではないですけど、日頃の感謝の気持ちをこめて。だからたくさん作らないとなんです!」
そう言うと、手の中にある大量の材料を掲げて見せた。