第13章 オンナノコの初任務
ほの花さんの話は衝撃的だった。
でも、明らかに彼女の体は異常をきたしていたのでそれを聞いて腑に落ちた。
月経痛で発熱することは稀。仮に出たとしても微熱程度だ。それなのに彼女は高熱を出していて、しかもそれが続いている。
そして、私が最も異常だと感じたのは解熱剤を飲んだにも関わらず一向にその高熱が下がる気配がないこと。
月経痛には効いたようで痛そうな表情はしなくなっていたが、痛み止めは解熱作用もあるのに痛みだけが改善して熱だけが残ったことが不可解でしかない。
見兼ねて強めの解熱剤を飲ませてみたのに何度検温に訪れても38度以上の高熱を叩き出していて、下がる気配はない。
手術などの時に使うくらいの強い解熱剤だ。痛み止めの作用もあるが。
それが効いていないというのは明らかにおかしかった。
「…ほの花さんは大体どの程度使ったらどういう症状が出るとか分かっているんですか?」
「きっちりとしたことは分かりません…。目分量のような匙加減でいつも使っていて…、このくらいなら頭痛や眩暈かなぁ…とか。そんな感じです。」
体に関わることなのに随分とまぁ適当だ。
こんなことでは確かに本人の言う通りいつか死ぬ。
自覚しているだけでもマシだと思いたい。
「実験とかしたことはないんですか?」
「あ、それはあります!里にいる時に動物の怪我を治してみたりとかしてました。それで大体こんな感じかなぁ〜って。」
稀にいるのだ。
こういう天才肌の人間が。薬師としてはキッチリしていると思う。ただ彼女は母親の調合をそのまま引き継いでいるようで、実際にはその人の体型や性質を見て微妙に配合を変えている。
もちろん秤で計っているが、その微妙な調合の度合いは"大体これくらいかなぁ"と言う大胆なやり方でぴたりと絶妙な調合をしてしまう。
傷薬などまさにそれで、一度作ってもらった傷薬がとても良く効くので調合を聞いたらそんなことを言われたのだ。
でも、その能力はそれではダメだ。
命に関わる。
彼女の命に関わることは一人の柱の進退にも関わる大事なことだ。
(…宇髄さんにバレないようにすることが一番の課題ですね…)