第13章 オンナノコの初任務
しのぶさんは私の話を聞き終えると、大きく息を吐き、少し悲しそうに笑った。
「…宇髄さんは知ってるんですか?」
「この力のことは宇髄さんしか知りません。…でも、使うなと言われているのに…使ってしまっていることはずっと黙っているんです。」
あんなに大事にしてくれているのに彼を騙しているような私の行動は裏切り行為と言っても過言ではない。
それでも…、産屋敷様が鬼殺隊の当主として長く生きて頂くためには必要な選択だと感じてしまっている私は愚か者かもしれない。
「…バレたら怒られますよ。それこそ鬼殺隊も辞めさせられて、家から出してもらえなくなるでしょうね。」
「……、し、しのぶさん!お願いします。このことは内緒にしてください!もし、使わなければならない時はバレないように十分に気をつけます…!どうか…!」
宇髄さんにだけはバレたくない。
あの人は本当に優しい人だから。
心配かけてしまうし、ひょっとしたらその為に頭を悩ませてしまうかもしれない。ただでさえ柱で忙しいのに…。懇願するようにしのぶさんを見つめていると、コクンと頷いてくれたのでホッとして肩の力が抜けて行った。
「…分かりました。そのかわり、必ず使ったら此処に来て下さい。微妙な体調の変化をきちんと把握する必要があります。」
「…よ、良かった…。ありがとうございます…!」
「宇髄さんにバレたらわたしも恨まれますのでお願いですから隠し通してくださいね。でも、あの人、ほの花さんのことに関しては目敏いですから。十分に注意して下さい。」
目敏いという言葉は耳が痛い。
先ほどまで痛感していたばかりなのだ。
彼には私の微妙な変化が分かってしまう。
"お前はすぐに顔に出る"
そう言うだけあって、彼は私のことを本当に理解してくれているから。
「お館様の件は正直言って感謝してしまうくらいです。少しでも長く生きて頂きたい…。ほの花さんがツラい想いをされると言うのにこんなこと言ってごめんなさい。勘違いしないでください。無闇矢鱈には使ったらダメです。それは肝に銘じておいてください。」
しのぶさんの言いたいことは物凄くよくわかった。私も同じ想いで力を使っていたのだから。
きっと鬼殺隊であれば皆同じように思うはずだ。