第13章 オンナノコの初任務
目を逸らしたままだった私がしのぶさんと目を合わせるとふぅ、とため息を吐いた。
「…あなたは分かってますね?理由を。」
「ごめんなさい、しのぶさん。私、隠していたことがあるんです。」
もう隠しておけないと踏んだ私はしのぶさんに全てを打ち明けることにした。宇髄さんにも言えないこともすべて。
どっちみち彼女にバレるのは時間の問題だった。
遅かれ早かれ言う必要に駆られる時が来たとおもう。
意を決して話し出した私をしのぶさんは黙って聞いてくれている。
「…陰陽師の能力なのかは定かではないんですが、私は体調不良や怪我を手を翳すだけで治せる能力があるんです。」
「手を翳すだけで…?」
「でも、それを使うとしっぺ返しのように自分の体に不調が現れます。大怪我をした兄の怪我を治した時は三日間高熱に魘されました。解熱剤も効きませんでした。体に溜まった負債は膿のように排出されているように思います。それが恐らく自分自身の体調不良として出てくるんです。きっとあまりの瀕死の人を完全に助けたら私は死にます。」
初めて言葉に出してしまえば背筋がゾッとした。
そうだ…。きっと私、使いすぎたら死ぬ。
"少しなら大丈夫、大丈夫。"と少しずつ溜まった負債によって、今この状態なのであれば、思ったよりも体に痛手を負っていたということになる。
一旦帳消しにするために、今回倒れて良かったのかもしれない。
「それが本当ならば…何に使ったのか聞いてもいいですか?」
「……毎回ではないですが産屋敷様の薬の調合の時に。最近風邪をひかれたようで発熱していたのでいつもは使わないくらい長く使ってしまったんです。恐らく今回倒れた一因かと…。あと、昨日負傷した方の止血もしてしまいました。」
考えれば考えるほど自分の意思でやったことではあるが、事の重大さに気付く。
結局、宇髄さんにも迷惑をかけてしまっているし、しのぶさんにも…。
しかし、産屋敷様に関してはこれ以上病気の進行を抑えるためには致し方ない時もある。
先日持って帰ってきた薬が効いてくれれば使わなくても良くなるかもしれないが、効果は今すぐには分からない。