第2章 興味本位
ジロジロと顔を見る私に呆れたのか顔を背けるように星空に目を向ける宇髄さんは何を思ったのかその場に寝転がった。
「俺のこと褒める前におまえこそ綺麗な顔してんだから変な男に引っかかんなよ。」
これは…どうやら気を遣わせてしまったようだ。これから私はこの人にいろいろ教わるわけで所謂上官だ。
そんな彼に気を遣わせてどうするのだ。
「大丈夫ですよー。鬼でなければ襲われても返り討ちにできますので!」
「……先が思いやられるぜ。」
私の返事が気に食わなかったのか、それとも眠いのか。彼はハァとため息を吐くと目線だけこちらを向ける。
「…気持ち悪くねぇか?」
「え、あ…!大丈夫です…!」
「それならいい。明日からも無理すんなよ。」
そうやって気遣ってくれるのはありがたいけど、そう言えば彼こそ大丈夫なのだろうか。背中に手を翳しただけでその時の私は気分が良くなった。もし、私と同じ能力ならば彼こそその反動で体調不良になっているはずだ。
「あの、宇髄さんこそ体調は大丈夫ですか?」
「はぁ?俺?急に何だよ。俺は別に何ともねぇけど。」
不思議そうに首を傾げる彼に私も同じように首を傾げた。どういうことだろうか。気のせい…?
でも、あれから本当に格段に気分が良くなった。
ほとんど食べれなかった食事も摂れたし、さっきもお粥をよそって頂いた分は全て平らげた。
よほど難しい顔をしていたのだろう。いつの間にか目の前にいた宇髄さんに眉間の皺を突かれた。
「何よ?気になることがあるなら言えよ。気になるだろ。」
彼の言葉も最もだ。
素直に話せばすぐに解決することではないか。
「あの、実は…宇髄さんに背中を摩って頂いてから物凄く気分が良くなって…何か不思議な能力でもあるのかと思いまして…。」
「……は?」
しかし、どうやら私の考えは間違っていたようだと彼のたった一文字だけで明白になってしまい、その後何とも冷ややかな空気が流れた。