第13章 オンナノコの初任務
「ほら、あーん。」
「……あの、物凄く恥ずかしいんですけど、この体勢何とかなりませんか?」
「我慢しろ。フラフラすんならこうするしかねぇだろうが。」
"痩せるな、元に戻せ"という師匠命令が下ったかと思うと、私を横抱きにして片方の腕にもたれさせるとそのまま食べさせようとしてきた。
突然の横抱きで宇髄さんの胸と腕に支えられている状態は素面だと小っ恥ずかしい。情交前だとしても恥ずかしいが、今は単なる食事介助に過ぎない。
「ほら」とお粥を匙で掬って目の前に持ってくるものだからそれをパクリと食べる。
まるで雛鳥じゃないか…。
「美味いか?退院したら美味い甘味食わせてやるからな。」
「え、本当ですか?!わーい!ありがとうございますー!」
「おー、任せとけ。ほら、食え。今日は全部食わせてやるから。なるべく此処にいる間は時間作って来るからよ。」
食べさせてくれるのが宇髄さんで良かったかもしれない。体の大きな宇髄さんなら私の体を支えるのなんて取るに足らないことだろう。
もちろん有難いが…。
アオイちゃんに頼むのであれば早く食べなければ…!と気を遣うことになりそうだ…。
だから彼の申し出はとてもありがたいし、嬉しい。しかし、忙しい合間に私に会いに来てくれる宇髄さんのことを思うと、早く退院したいと気が焦る。
「難しい顔すんなって。お前はすぐに顔に出るなぁ?ほの花ちゃん?」
「え…?」
「別に此処に来るのは大変なことじゃねぇし、お前はなーんも気にせずに体を治すことだけ考えてりゃいいからよ。」
何で分かったんだろう…?私の考えてること…。
不思議そうに彼を見つめると呆れたように笑った。
「俺はお前のことなら分かっちまうの。言ったろ?気遣うなって。甘えときゃいいのよ、俺には。な?」
そう言って口元に運ばれるお粥を受け入れると彼を見上げてみた。
大きくていつも包み込むような優しさをくれる彼は苦もなく甘えさせてくれて、私を受け止めてくれる。
彼みたいな人が恋人で私は凄く運が良いし、幸せ者だと思う。