第13章 オンナノコの初任務
「お前は平気なのかよ。俺はこんなにお前が欲しくてたまんねぇのに。」
絡んだ視線が少しだけ拗ねたように変化すると私は思わず目尻が下がってしまう。
「そんなことないです。私も宇髄さんに抱っこしてもらって一緒に寝たいなぁって思ってました。だから早く治しますね!」
私の言葉に少しだけ安心したように表情を緩ませると起き上がって私の頬に手を添えた。
「なぁ、口付けだけならしていいか?」
そう言う彼の視線は熱っぽくて、また心臓が跳ねた。いつもはそんな確認しなくても強引に唇を奪ってくると言うのに…。彼なりに体調を考慮してくれてるのが分かって嬉しくなる。
しのぶさんからは口酸っぱくなるまで無理をしないように言われているが、寝たままだったらいいだろうと勝手に解釈して、コクンと頷くと彼の首に腕を回した。
私だって宇髄さん不足なのは間違いないのだから。
優しく降ってくる唇はいつもと同じ。
でも、今日は情熱的な口づけではなく、慈しむようにお互いの温度を確かめるようなそんな口付け。
「…宇髄さん、もう一回…。」
そんな優しい口付けが心を満たしていくようで幸せを感じると途端に欲が出てくる。
「こーら、俺を煽んなよ。…あんまりすると勃っちまうだろーが。あと一回だけな。」
「はーい。」
そうやって見下ろされる瞳が情欲に満ちてきていて確かにそれはヤバい、しのぶさんに怒られる…と思い直して最後の口づけを受け入れた。
触れるだけの優しいそれが大好きだけど、情熱的なそれも宇髄さんの激しい愛を感じられて好きだ。
だから彼の言う通り、早く治して彼のところに帰りたいと心底思った。彼だけでなく私も枯渇寸前なのだと思い知ったから。
長めの口づけを終えると、ため息をした宇髄さんに強めに抱きしめられる。
この温もりをどれだけ欲しているか自分でも怖くなるほど。
彼の胸に耳を寄せれば、やっと心臓の拍動が聴こえる。
これを聴きながらいつも眠っている私にとってこの腕の中が、最上級の安息の地。