第13章 オンナノコの初任務
「よォ!ほの花!体調どうだ?」
「宇髄さんーー!!!」
しのぶさんの言う通り、小一時間ほどで宇髄さんが来てくれてその顔を見るだけで勝手に心が満たされていく。
寝ていろと言われたのに思わず抱きつきたい衝動に駆られて、自分の感情としのぶさんの言い付けで揺れ動く脳内は忙しい。
「まだ熱が下がんねぇんだって?大丈夫かよ。」
「そうなんですー…。でも、お腹はもう痛くありませんよ!」
ベッドの横に置いてある椅子に座ると額に触れて熱の確認をしてくれる宇髄さん。
大好きな手に触れられてにんまりと笑顔になってしまうのは不謹慎かもしれないが止められない。
「おいおい、こっちは心配でたまらねぇっつーのにニヤけてんなよな。全く。」
「だって…、宇髄さんの手が大好きなんです。」
「手だけかよ。」
「はい!」
「ああ?!」
「嘘です嘘ですごめんなさい。すみません。全部大好きです。愛しています。」
そんなふざけ合いができるのも生きていたからだ。今回鬼の首を斬れたのも宇髄さんとの鍛錬で冷静さを失わず、余裕を持てたから。
そう考えると彼が愛おしくてたまらない。
「はぁーー…あと何日お前と会えねぇの。俺もう派手に枯渇寸前。早く抱きてェ。この腕に抱いて寝てェ。お前の善がる顔が見て…」
「何を言ってるんですかぁぁぁあっ!!!」
「仕方ねぇだろ!俺はいま枯れる寸前なんだ!ほの花不足で派手に死にそうなんだぞ?どうしてくれるんだ。早く治して帰ってこい。じゃねぇと俺は夜な夜な此処に通うぞ。」
「……そんなことしたらしのぶさんに怒られますよ…。」
「ンなもん覚悟の上だ!!」
この病室は私以外いないとは言え、宇髄さんの発言は耳を塞ぎたくなるようなことばかりで顔が熱くなる。
「あー、限界。」と言ってベッドに顔を埋めて悶えている宇髄さんが何だか可愛くて、彼の頭に手を乗せてみた。
ヨシヨシと撫でてみると急にこちらに顔を向けたことで目が合った。美丈夫な彼に急に見つめられると心臓がドクンと跳ねてしまう。
きっとこれも彼にはお見通しなのだろう。